研究課題/領域番号 |
16K19319
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
山本 祐 自治医科大学, 医学部, 助教 (30642235)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢者 / ポリファーマシー / 再発予防 |
研究実績の概要 |
本研究では、退院後の高齢者ポリファーマシー再発を予防するための、新たな退院時薬剤情報提供フォーマットを開発することを目的とする。この目的を達成するため、(1)急性期病院退院後の高齢者ポリファーマシー再発率を明らかにする、(2)退院後のポリファーマシー再発に関与する要因を明らかにする、(3)高齢者ポリファーマシー再発を予防する退院時薬剤情報提供フォーマットを作成する、の3項目を研究期間内に明らかにすることを目標とした。 平成29年度は、上記(3)に係る質的データ収集を行った。日本プライマリ・ケア連合学会が主催する第8回学術大会、および、第15回秋季生涯教育セミナーにおいて、ポリファーマシー再発を防ぐための退院時薬剤情報提供をテーマとしたワークショップを開催した。プライマリ・ケアに関わる医療者で構成された参加者総数のべ78名(病院勤務医師37名、診療所勤務医師13名、薬剤師28名)から、KJ法を用いてテキストデータを入手した。現在はテキストデータのカテゴリへの分類作業を行っており、平成30年度に実施するデルファイ法の資料を作成中である。加えて、ワークショップへの薬剤師参加数が予想を上回っていたことから、必要と考える提供情報の医師・薬剤師の職種間差異を、当初計画に追加して分析を行っている。 一方で、冒頭の(1)と(2)に係る、急性期病院退院後の高齢者ポリファーマシー再発率、ならびに再発に係る因子抽出のための対象患者に対する質問紙調査は、対象患者への効率的・効果的な調査方法の再検討が生じたため実施には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
急性期病院退院後の高齢者ポリファーマシー再発を調査するための方法として、当初計画では郵送による質問紙調査を予定していた。しかしながら、選定された対象患者の多くで、日常生活動作に支障をきたす身体状態の存在、または認知機能低下の併存、または高齢独居や後期高齢者夫婦世帯であること、が判明したため、当初計画通りの質問項目では郵送法回収率は予想を下回るものと判断された。このため、効率的・効果的な服用薬剤と通院先医療機関に係る情報入手方法の再検討を余儀なくされている。 一方で、当初計画で平成30年度前半に予定していた、高齢者ポリファーマシー再発を予防する退院時情報提供フォーマット作成のための質的データ収集は、ワークショップ参加者へのKJ法で平成29年度中に完了している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に入手したテキストデータをカテゴリ化して項目を作成し、平成30年度は有識者によるデルファイ法で、退院後の高齢者ポリファーマシー再発予防のための情報提供に必要な項目の集約化を図る。意見集約化で得られた項目で、実用可能な情報提供フォーマットを作成する予定である。 また、急性期病院を退院した高齢者ポリファーマシー患者への調査方法を、平成30年度初頭に再計画する。調査期間を当初の1年から6か月間に短縮し、調査とデータ入手、およびデータ解析を平成30年度中期から後期にかけて実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
効率的・効果的なデータ入手のための調査方法再検討が生じたため、郵送法に用いる自己記入式質問票を平成29年度に作成できていない。このため、質問紙印刷費、および調査対象者への郵送に係る通信費で予定していた支出が、次年度に繰り越しになった。 平成30年度は再検討・変更した調査法に基づき、質問紙調査票の作成・印刷、および郵送による調査を行う。このため、次年度繰越金を通信費として使用する予定である。
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