①AIP(IgG4-RD)患者IgGをマウスへ投与し、病原性について評価する。数を増やしてvalidation 患者IgGのマウスへの投与により同患者の罹患臓器と同一のマウス組織に病変ができることをサンプル数を増やし確認した。また、用量依存性、時間依存性についても検証できた。 ②IgG4を含む各IgGサブクラスの病原性について、上記マウス実験系においてIgG1、IgG2、IgG3、および IgG4 のサブクラスに分画する。各分画の病原性について、①において確立したマウス実験系を用いて評価する。申請者らはIgG1とIgG4に病原性があることを確認した。更に興味深いことに、IgG4はIgG1の病原性を抑制することが分かった。 ③病原性をもつIgGとその標的組織について、マウスと患者組織間で比較検討する。①②で明らかとなったマウス膵における患者IgG、IgG1、IgG4の結合部位と、ヒトAIP組織におけるIgG、IgG1、IgG4の結合部位との相同性について、免疫組織化学法を用いて検討した。この結果、マウス・ヒトの両者において、IgG・IgG1・IgG4とも細胞外マトリックスに沈着があることを確認した。 ④患者IgGと結合するマウス抗原をスクリーニングし、質量分析によりこれを同定する。 抗原に対する患者自己抗体を抽出し、①の実験系でその病原性を確認する。同定した抗原をカラムに結合させ、免疫沈降法により患者血清から反応する自己抗体のみを抽出する。抗原に反応する自己抗体と、反応しない患者IgGについて、①において確立したマウス実験系で評価し、前者のみが病原性を示すか確認する。申請者は候補タンパク質がラミニン511であることを同定した。 ⑤AIP患者における自己抗体の定量法を開発し、臨床応用を目指す。現在、企業と共同で抗ラミニン511抗体の測定が実臨床に有用であるか開発中である。
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