研究実績の概要 |
解剖学的観点から腫瘍組織を得難いことなど、胆嚢癌診断に難渋することは多い。これらの問題点を克服するために、我々は非侵襲的診断法として胆汁circulating tumor DNA(ctDNA)に着目した胆汁Liquid biopsyという新たな手法を開発した。胆嚢癌30症例のうち、20症例の胆嚢癌組織DNAと24症例の胆汁ctDNAを解析した。解析には次世代シークエンサー(Illumina, San Diego, CA, USA)とCancer panel(Haloplex, Agilent Technology)を用いた。年齢中央値は77歳(40-90)、男女比は9/21、ステージⅠ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳは6/6/6/12症例であった。胆嚢癌組織DNAにおいて、20症例中11症例(55%)で変異陽性であった。胆嚢癌組織と胆汁ともにそろっている症例は14症例であり、この14症例のうち8症例(57.1%)が胆嚢癌組織DNA変異陽性であった。胆汁細胞診陽性は14症例中5症例(35.7%)、胆汁ctDNA陽性は14症例中7症例(50%)であった。 32症例の非癌胆嚢組織DNAと19症例の非癌患者胆汁circulating tumor free(cfDNA)も同様に解析を行った。胆汁ctDNAの感度は58.3%であり、胆汁細胞診の感度は45.8%dであり、胆汁Liquid biopsyの可能性を示唆する結果であった。 次世代シークエンサーによる胆汁中のctDNAは検出可能であり、胆汁Liquid biopsyは胆嚢癌診断の新たな有用な手法であった。
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