研究課題/領域番号 |
16K19347
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
北村 晋志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (60564490)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | カルチノイド / miRNA |
研究実績の概要 |
腫瘍径10mm以下の直腸カルチノイド(NET G1)は、内視鏡的治療を先行し、病理診断にて脈管侵襲を認めた場合に外科的追加切除が勧められているが、微小病変でも転移再発を来す症例が報告されており、転移機序の解明と有効なバイオマーカーが求められている。一方、近年non coding small RNAである様々なmicroRNA(miRNA)が同定され、標的遺伝子を制御することにより癌の発生、増殖、転移に関与することが報告されている。そこで本研究では10mm以下の直腸カルチノイド(NET-G1)の脈管侵襲陽性と陰性のカルチノイド組織を用いてmicroRNAアレイ解析を行い、その転移、浸潤に関わるmiRNAを網羅的に解析し、次いでTargetScanやIPA解析により、標的遺伝子を同定し、転移、浸潤の分子学的機序を検討した。内視鏡的治療により切除された10mm以下の直腸カルチノイド33病変の内、特殊・免疫染色にて脈管侵襲の有無を再評価し、年齢、腫瘍径をほぼ適合させた脈管侵襲陰性症例、陽性症例7例をmiRNAアレイ解析した。miRNAアレイ解析で、脈管侵襲陰性症例と比較し、陽性症例で有意に発現強度が高かったmiR-144-3p、miR-451a、miR-551b-3p、miR-486-5p、miR-10b-5pの5つのmiRNAを同定した。RT-qPCRにて、脈管侵襲陽性検体においてmiR-144-3pとmiR-451aの発現のみが有意に高かった。次いで、TargetScan、IPA解析にてmiR-144-3pはPTENが、miR-451aはCDKN2D(p19)が標的遺伝子であることを同定し、免疫染色にて脈管侵襲陽性症例において有意にその発現が低下していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miRNA解析にて標的遺伝子を同定している。今後はTargetScanやIPA解析により、標的遺伝子を同定し、転移、浸潤の分子学的機序を検討する。siRNA導入での浸潤能、遊走能評価を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
TargetScan やIPA解析で同定された標的遺伝子の発現は、免疫染色にて評価した。さらに、カルチノイド培養細胞株(H727細胞)を用い、抽出されたmiRNAを疑似的過剰発現させ、増殖能、遊走能、浸潤能を調べるとともに、標的遺伝子のsiRNA を用いたノックダウン実験を行い同様に機能解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
残金に購入可能な試薬がなく、次年度の研究費と併せて試薬などの購入に充てることとした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費と併せて試薬などの購入に充てる。
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