研究課題/領域番号 |
16K19352
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
新沼 猛 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60708113)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大腸がん |
研究実績の概要 |
消化管内視鏡など医療技術の進歩により、根治が望める症例は確実に増えているが、切除不能例や遠隔転移例の治療成績向上はいまだに解決すべき課題である。近年、蛋白をコードしないnoncodingRNA(以下ncRNA)が広く生命活動に関連することが報告されており、腫瘍の転移・浸潤においてもその関与が知られはじめている。本研究ではがんエピゲノム異常を指標に、がんの悪性化、特に浸潤・転移に関わるncRNA異常を同定し、診断・治療への応用を目指している。 消化管がん転移に寄与するnoncoding RNAの探索のためまずThe Cancer Geneme Atlas(TCGA)データベースによるスクリーニングを試みた。TCGAの大腸がんの遺伝子発現データであるCOADREAD exon expressionを用いて正常大腸より発現が高く、リンパ節転移陽性群で転移陰性群より発現が高いnoncoding RNAのexonを抽出したところ、有意な156 exonが抽出された。その中から複数のexonが存在していた21のnoncoding RNAを解析の対象とした。選択したnoncoding RNAの発現を大腸がん細胞株SW480とそのリンパ節転移より樹立されたSW620細胞、正常大腸RNAを用いてさらなる解析を試みた。遺伝子発現量はqPCR法により解析し、正常よりSW480で高く、SW620でさらに発現が上昇しているnoncoding RNAを抽出した。抽出した遺伝子は、その他の大腸がん細胞株でも発現を検討し、大腸がん細胞株全体で正常大腸より発現が上昇しているnoncoding RNAを抽出した。 今後は抽出したnoncoding RNAのノックダウンあるいは、過剰発現系での機能解析を行う予定。機能が見出されたものについては臨床検体でもその発現量を検討する予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
消化管がん特に大腸がん転移に関与する可能性のあるnoncoding RNAを抽出し、検証した。 転移のみでなく、大腸がん細胞細胞株全体で上昇している遺伝子も抽出し、検証した。 現在機能解析目的に大腸がん細胞株を用いてノックダウン実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
抽出したnoncoding RNAについては、現在ノックダウン実験による機能解析の途中である。in vitroで機能を有するnoncoding RNAであることが確認された場合、in vivo実験においても機能を検討する。また、同時に臨床検体での発現解析やエピゲノム解析も追加し、臨床病理学的所見との比較検討を行い、疾患マーカーや治療標的となりうるかどうかを検討する。余力があれば他の消化管がんにおいても同様の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画の軽度の遅延のため今年度はマイクロアレイ実験を行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
予定していたマイクロアレイ実験を行う。 その他予定しているエピゲノム解析、遺伝子の機能解析を進める。
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