研究実績の概要 |
1)前年度に報告した通りマウスを用いた検討によりRORA遺伝子の発現量変化と肝脂肪沈着量の間に相関が認められ,概日リズム障害により時計遺伝子の1つであるRORAの概日発現異常(特に休眠期におけるRORAmRNA発現増加)がシグナル下流の脂質代謝関連遺伝子(PPARα, SREBP1c, Plin2, DGAT2, MTTP)の特に休眠期における発現増加を来たし、肝臓における脂質蓄積(エネルギー循環不全)を呈している事が確認できた一方で,メラトニン分泌の発現変化とRORA発現量の関係性や表現型としての脂肪肝病態に関してはマウスにおいて有意な相関が認められなかった事から人への臨床応用に頓挫し実験計画の修正を余儀なくされた事から今年度はメラトニンに変わる時計遺伝子の調整因子としてオレキシン受容体拮抗薬を用いて平成29年度の実験計画を遂行した。正常対照群と比較して概日リズム障害モデルにおいて有意に発現増加を示していた休眠期の肝臓PPARα, SREBP1c, Plin2, DGAT2 mRNAが10%程度の発現抑制を示し、肝臓脂肪沈着においても有意差をもって平均13%程度の減少を認めた事が確認された。最終年である平成31年度はボランティアを用いて臨床応用に繋げるためのパイロットスタディーに取り組む予定である. 2)前年度にマウスを用いて確認された概日リズム障害群における有意な胃排泄能の遅延をヒトにおいて検証するため、[13C]オクタン酸Breath ID を用い概日リズム障害群と健常群で比較検討したところ、個人差が大きく有意差は得られないものの概日リズム障害群において遅延傾向は認めた事から、今年度も症例数を増加して検討を進めていく予定である。
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