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2017 年度 実施状況報告書

癌細胞と腫瘍会合性マクロファージを標的とした光線力学的療法の癌性腹膜炎への応用

研究課題

研究課題/領域番号 16K19358
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

林 則之  名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (60745404)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード光線力学的療法
研究実績の概要

光線力学的療法 (Photodynamic Therapy, PDT) は、光感受性物質が選択的に集積した腫瘍組織にレーザー光を照射し腫瘍細胞を選択的に破壊する治療法である。我々は、癌細胞が糖を取り込む性質を利用し、単糖であるグルコースやマンノースを光感受性物質である.クロリンに連結することにより、飛躍的な殺細胞効果を確認した。近年、癌間質に存在するマクロファージは腫瘍会合性マクロファージ(tumor-associated macrophage:TAM)と呼ばれており、癌細胞の増殖、浸潤、腫瘍血管新生、転移の促進、腫瘍免疫の抑制、癌幹細胞維持に関与することが報告され、癌治療における重要な標的の1つと認識されている。TAMにはマンノースレセプターが発現していることが知られており、MクロリンPDTは腫瘍間質に存在するTAMにも選択的に有意に殺細胞効果を示した。消化管癌の腹膜播種、癌性腹膜炎は標準的治療法がない難治性の病態である。腹水中細胞の約80%はマクロファージ(TAM)であることが知られている。MクロリンPDTを用いた腹膜播種の新たな治療法を検討し、PDTの抗腫瘍免疫誘導効果を含めたメカニズムを解明する。ヒト食道癌細胞株、ヒト胃癌細胞株、ヒト大腸癌細胞株HTを96wellプレートに培養し、薬剤を投与する。蛍光プレートリーダー(Spactra Max、Molecular Devices、Tokyo、Japan)を用いて薬剤の取り込みを計測した。また、薬剤投与後にLED機器(LEDR-660DL、Optocode Corporation:波長660nm 照射エネルギー30.8mW/cm2)の照射をし、数日後にWST8アッセイを用いて殺細胞効果を計測した。マウスの腹膜播種モデルを作成し、PDTの抗腫瘍効果を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

PDTのTAMに対する効果を検討するため、MクロリンPDT施行後数日してから、開腹して腹膜播種病変を取りだしホルマリン固定後、マクロファージのマーカーの抗F4/80抗体やTAMマーカーで、マンノースレセプターである抗CD206抗体を用いて免疫染色し、TAMへの効果を検討しているが、適切な条件設定が決まらず難渋している。

今後の研究の推進方策

適切な条件を決定し,マクロファージのマーカーの抗F4/80抗体やTAMマーカーで、マンノースレセプターである抗CD206抗体を用いて免疫染色し、TAMへの効果を検討している。また,光線力学的療法では一般に光感受性物質が特定波長光線により励起され、細胞内に細胞死を誘導するとされている。Mクロリンを投与後、660nmの赤色LED(LEDR-660DL、Optocode Corporation、Tokyo、Japan)を16 J/cm2照射し,reactive oxygen species (ROS) detection reagent (carboxy-H2 DCFDA) (Invitrogen)、Anti-LC3 (MBL,Nagoya,Japan)、Caspase-3 FITC(MBL)、PIでラベルしFACS Calibur (BD Biosciences、Tokyo、Japan)にて活性酸素の誘導、オートファジー、アポトーシス、ネクローシスを検討する.

次年度使用額が生じた理由

(理由)
マウス実験が想定よりも時間がかかりその他の実験などをする時間がなくなってしまったため。
(使用計画)
レザフィリンの購入費用、細胞培養、実験試薬や実験器具(プラスティック器具など)、マウスの購入、および飼育などを中心とした消耗品費を予定した。研究成果は国内外の学会で発表予定であり、海外発表を視野に入れて経費を予定する。また英文誌に投稿予定のため、英文校閲料および論文投稿料も使用計画に組み入れた。

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公開日: 2018-12-17  

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