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2016 年度 実施状況報告書

マウス初代培養細胞を用いた新規未分化型胃がん発がんモデルの確立

研究課題

研究課題/領域番号 16K19380
研究機関千葉県がんセンター(研究所)

研究代表者

丸 喜明  千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ 発がん制御研究部, 研究員 (30742754)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード胃がん / 3次元培養 / オルガノイド
研究実績の概要

マウス由来正常胃細胞の継代成功率は20%程度であったが、ある試薬を培地に加えることで安定的に培養可能となった。研究代表者以外の技術者が、同様の培養条件で胃細胞の培養を行っても、安定的に培養可能なことから適切な培養条件である可能性が高い。この培養条件で培養された胃細胞にレンチウイルスを用いて遺伝子を導入し、発がん誘導を行った。
Krasの活性化を介した発がん誘導については、Krasの活性化単独やp16, Ptenの発現抑制を組み合わせて行っている。Krasの活性化単独では腫瘍形成に不十分だが、p16の発現抑制を組み合わせることで腫瘍形成が認められた。
未分化型胃がんを誘導する上で注目しているCDH1およびTP53において、当初はCdh1とTrp53のshRNAによる発現抑制により発がん誘導を行う計画であった。しかしながら、shTrp53の抑制効率が低いことが比較的高頻度に確認された。そのため、新規にTrp53のコンディショナルノックアウトマウスを購入し、Cre遺伝子のcDNA導入によるTrp53のノックアウトを試みた。ゲノムDNAのPCRにより組換えが確認されたことから、以後Trp53のコンディショナルノックアウトマウスを用いることとした。Trp53ノックアウト単独では腫瘍形成には至らなかったが、Cdh1の発現抑制と組み合わせたところ、ヌードマウス皮下で腫瘍形成がみられた。組織学的には、腺管を形成する高分化な成分を主体に一部びまん性に増殖する成分が認められたことから、びまん性胃がんの発がん過程を模倣している可能性が示唆された。
以上、マウス由来正常胃細胞へin vitroでの遺伝子導入により、胃以外の環境でもびまん性胃がんの誘導が可能なことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

未分化型胃がんを誘導する上で注目しているCDH1およびTP53において、当初はCdh1とTrp53のshRNAによる発現抑制により発がん誘導を行う計画であった。しかしながら、shTrp53の抑制効率が低いことが比較的高頻度に確認された。そのため、新規にTrp53のコンディショナルノックアウトマウスを購入し、Cre遺伝子のcDNA導入によるTrp53のノックアウトを試みたため、計画よりやや遅れていた。しかし、このマウス由来正常胃細胞にTrp53のノックアウトとCdh1の発現抑制を組み合わせることで発がん誘導に成功しており、以後順調に進むことが期待される。

今後の研究の推進方策

マウス由来正常胃細胞でTrp53のノックアウトとCdh1の発現を抑制させたオルガノイドをヌードマウス皮下に接種し、腫瘍形成が認められた。組織学的には、腺管を形成する高分化な成分を主体に一部びまん性に増殖する成分が認められた。今後は症例数を増やし再現性の確認とoff-target効果を否定するため複数のshRNAクローンを用いて同様の実験を行う。さらに、我々はこれまでに、1度目の皮下腫瘍を再培養し皮下に再移植すると、高確率でより悪性化した腫瘍を形成することを確認している。そこで、Trp53のノックアウトとCdh1の発現抑制で誘導された1度目の皮下腫瘍を再培養し、再移植することでびまん性増殖を示す腫瘍成分が増えるか確認する。Krasの活性化を介した他の経路による発がん誘導についても再現性を確認する。

次年度使用額が生じた理由

年度末に購入した物品の納品が間に合わなかったため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

新年度に入り購入した製品が納入されたため、その支払いに使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 3次元培養法を用いたがん研究の展開-基礎研究から臨床応用に向けて-2016

    • 著者名/発表者名
      丸喜明、松浦哲也、落合雅子、筆宝義隆
    • 学会等名
      第25回日本癌病態治療研究会
    • 発表場所
      三井ガーデンホテル千葉
    • 年月日
      2016-06-08 – 2016-06-09

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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