研究実績の概要 |
本研究の目的は, 申請者らのこれまでの研究成果に基づき、内皮依存性弛緩反応における血管径に応じた一酸化窒素 (NO) と内皮由来過分極因子 (EDHF) の生理的バランスの意義を明らかにし, 特に抵抗血管・微小循環におけるNOを介さない機序での血管恒常性の維持機構を解明することにより, 血管内皮機能と密接な関係にある心血管病の新たな治療戦略を開発することである。NOに依らないEDHFを介した微小循環における血管弛緩反応の重要性に着目している点に独創性がある。前年度に引き続き, この目的を達成するために, 「研究1. 血管径に応じたNOとEDHFの生理的バランスの意義の解明」および「研究2. 抵抗血管における血管弛緩反応の制御と臓器循環の調整機構の検討」に関して研究を継続した。 研究1に関しては, 申請者らが前年度に報告した, 内皮依存性弛緩反応におけるNOとEDHFの生理的バランスが崩れて微小循環のEDHF/H2O2反応が減弱した内皮特異的caveolin-1 (Cav-1) 欠損マウスを用いて, 内皮Cav-1が下肢虚血後の微小循環の血管新生においても重要なことを明らかにし, American Journal of Physiology Heart and Circulatory Physiology誌に論文発表を行った。 研究2に関しては, マウス冠循環におけるEDHFの重要性を明らかにした。さらに, 申請者は平成30年1月から平成31年3月まで米国メイヨークリニックへ留学し, 本研究に関連した国際共同研究として, ヒトの冠動脈内皮機能と冠動脈硬化症との関係性を明らかにした。 本年度の研究実績に関しては, 研究発表欄に記載の通り, 本研究で得られた知見を上述の原著論文ならびに複数の国際学会で発表した。
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