研究成果の概要 |
一酸化窒素 (NO) に依らない内皮由来過分極因子 (EDHF) を介した微小循環における血管弛緩反応の重要性に着目し, マウスモデルを用いて, 内皮依存性弛緩反応における血管径に応じたNOとEDHFの生理的バランスの意義を明らかにした。さらに, 申請者は平成30年1月から平成31年3月まで米国メイヨークリニックへ留学し, 本研究に関連した国際共同研究として, ヒトの冠動脈微小循環における血管内皮機能と冠動脈硬化症との関係性を明らかにした。本研究で得られた知見を複数の原著論文ならびに国際学会で発表した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
超高齢化社会に突入した我が国において心血管病は急速に増加傾向にある。本研究の成果により, 内皮依存性弛緩反応における血管径に応じた一酸化窒素 (NO) と内皮由来過分極因子 (EDHF) の生理的バランスの意義が明らかになり, 特に抵抗血管・微小循環におけるNOを介さない機序での血管恒常性の維持機構を解明することにより, 血管内皮機能と密接な関係にある心血管病の新たな治療戦略を開発に役立つ可能性がある。さらに, NOに依らないEDHFを介した微小循環における血管弛緩反応の重要性に着目している点に独創性と学術的意義がある。
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