研究課題
当科研費の施行前の2016年2月付けにて J Am Coll Cardiol Interv (IF=7.63) に、背景となる基礎研究の結果を発表した。本研究で用いる予定の最新世代Sirolimus溶出PDLLA-PCLポリマーステントに塗布されている、超早期生体適合性PDLLA-PCLポリマーのみをコーティングしたステントと、旧世代バイオリムス溶出型ポリマーステント、バイオリムスを除いたポリマーステント、単純な金属ステントの4型のステントを独自に用意し、ブタ冠動脈に対するステント留置1ヶ月後の血管反応と組織変化を検討した。この結果、ポリマーの遺残がステント留置後の血管反応の変化の主因であることを突き止め、生体適合性PDLLA-PDLポリマーを使用し遺残を減らすことで、血管反応異常や炎症性変化を抑制できることを報告した。これを踏まえ、Sirolimus溶出PDLLA-PCLポリマーステント留置例でステント留置後も胸痛が後遺し、器質的再狭窄を認めなかった若干名に対して、慢性期にアセチルコリン冠注投与による血管反応を評価した。その結果、同ステントを用いた場合、血管反応性や血管内炎症性変化は保持されている可能性が示唆されたため、院内倫理委員会に本研究の申請を行った。一方、冠動脈の動脈硬化やその基盤となる慢性炎症がステント留置前から血管反応を修飾している可能性が残されていた。そこで、ステント留置前より冠異常収縮反応を示す冠攣縮性狭心症患者を対象として、OFDIによる血管内イメージングとFDG-PETによって評価できる血管炎症を評価することとした。OFDIを用いた検討では、動脈硬化や炎症の指標である外膜微小血管の増生が冠攣縮と密接に関わることを明らかにした(Circ J 2016)。また、ブタステント留置モデルを用いて、留置後の冠動脈の炎症はPETで評価可能であることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
年度内に予備試験を行い、倫理委員会に本申請を行う計画であり、この計画通りに研究は遂行されている。
本研究と並行して行っていたPETを用いた血管炎症イメージングの臨床研究によって、PETの有用性が確認できたため、本研究においてもステント留置後にPETを施行し、OFDIによる血管内からの観察とPETによる非侵襲的な炎症評価を統合して、薬剤負荷による血管反応性を追及していく方針である。次年度は倫理申請の承認を待って、適宜患者登録を行い、前向き試験を遂行していく予定である。
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Circulation Journal
巻: 80 ページ: 2252-2254
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Journal of American College of Cardiology: Cardiovascular Intervnetions
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