研究課題
本研究は、院内倫理委員会にて本申請を行い、2度の審査と修正指示を受けた後、最終の承認手続きを待っている段階にある。この間、血管の炎症評価の手法確立に関して、更なる検討を進めてきた。心臓用OCT(OFDI)は米国ハーバード大学・マサチューセッツ工科大学が開発した技術である。第一に、国際共同研究として、OCT開発者(Guillermo J. Tearney教授)と連携し、冠動脈の解剖学的異常として知られる心筋内走行部において、血管炎症の主因である血管栄養血管(Vasa vasorum)が未発達であることを明らかにし、アメリカ心臓協会学術集会(アナハイム, 2017年11月)にて学会発表を、国際誌International Journal of Cardiology(IF = 6.2)に主著論文の発表を、行った。第二に、PETを用いた血管周囲脂肪炎症の定量評価方法を確立し、国際誌Arterioscler Thromb Vasc Biol(IF = 6.6)に共著論文の発表を行い、同手法を用いて冠動脈異常収縮部位に血管周囲脂肪炎症が高度となっていることを明らかとし、J Am Coll Cardiol(IF = 19.9)に共著論文を発表した。なお、本研究はヨーローッパ心臓病学会、アメリカ心臓協会、日本循環器学会の三大循環器学会において若手研究者賞を受賞した。第三に、薬剤溶出性ステント留置後に生じる冠動脈の過収縮反応の問題に対して、カテーテル的腎動脈交感神経除神経術が有効であり、その機序として除神経によって腎-脳-心連関を介して冠動脈局所の自律神経活性が低下し、神経増殖因子の放出を制御することで、Vasa vasorum増生を抑止できることを示した。Arterioscler Thromb Vasc Biol(IF = 6.6)に共著論文の発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
院内倫理委員会における研究の承認に、当初予想していた以上の時間を要している。一方で、本研究において用いる血管炎症の評価方法に関する研究を大きく推し進めることができている。一流国際誌へ4報の論文発表も行っており、研究全体としては順調に進展しているものと考えている。
倫理委員会の承認が得られた後に、速やかに臨床試験を始動し、学会発表と論文発表を順次行う。また、現在、我々はハーバード大学と連携し、更に精密な血管炎症の評価法方法として、OCTの10倍解像度をもつマイクロOCTを開発している。国際共同研究として我々が冠動脈炎症の主因と同定した、薬剤溶出性ステント上のポリマー、ポリマー周囲の炎症細胞を画像化できる技術の開発に取り組む。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件)
International Journal of Cardiology
巻: 250 ページ: 275~277
10.1016/j.ijcard.2017.09.211
Journal of American College of Cardiology
巻: 71 ページ: 414~425
doi: 10.1016/j.jacc.2017.11.046
Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology
巻: 37 ページ: 1757~1764
10.1161/ATVBAHA.117.309843
巻: 37 ページ: 1869~1880
10.1161/ATVBAHA.117.309777