研究課題
本研究は単施設の無作為割付化前向き比較研究として行うべく病院倫理委員会に申請を行い、2019年に入ってようやく最終的な承認を得た。2019年4月現在、患者の登録を進めている段階であり、恒久性、生体吸収性ポリマーの2種類の薬剤用溶出性ステント(DES)が冠血管機能に与える影響について具体的な前向き比較試験の結果は得られていない。この点で、当初の計画に研究は遅れていると判断される。この間、後ろ向きの検討も行った。2013年4月~2018年12月の5年8か月の間、当院でステント治療の前後で冠攣縮誘発試験とOCT画像診断を同時施行された症例のうち、恒久ポリマーDES留置例17症例と生体吸収ポリマーDES留置例16例の2群比較を行った。その結果、DES留置前後での血管反応性の変化率は2群で有意な変化は認めなかったが、生体吸収ポリマー群で低い傾向にあった。2群をまとめて検討を行うと、DES留置後に冠血管収縮反応が増悪しており、その程度はOCTで認めたVasa vasorum量と相関を示した。これらの結果は、学会、学術誌に投稿準備中である。臨床研究と並行して、DES留置後の血管炎症についてリンパ管の機能不全による炎症細胞の回収機構が破綻し冠動脈外膜面の炎症遷延に寄与しているとの結果を得、共著者としてヨーロッパ心臓病学会2018で若手研究者を受賞し、Arterioscler Thromb Vasc Biol(IF = 6.6)に論文を発表した。他に、マサチューセッツ総合病院・ハーバード大学との連携によって、超高解像度マイクロOCTを開発した。本技術が内皮細胞を鮮明に画像化できる技術であることを明らかにし、J Am Coll Cardiol Img (IF = 10.2)へ論文を発表した。今後、DES留置後血管治癒過程の評価に役立てることが期待できる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 8件)
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