心筋細胞の収縮・拡張過程ではアデノシン三リン酸(Adenosine Triphosphate, ATP)が必要である。肺高血圧に伴う右室後負荷の増加は右室心筋におけるエネルギー(ATP)需要を大幅に増加させると考えられる。我々は右室心筋細胞のエネルギー代謝、特にATP産生と消費のミスマッチが右心不全を増悪させているとの仮説を構築し、その病態解明を目指して研究を行った。その結果、左室心筋と比較して右室心筋細胞におけるATP産生が減弱していることを見出した。併せて肺動脈縮窄術により右室肥大から右心不全を引き起こす病態モデルを樹立した。このモデルは右心不全病態解明に資すると考えられた。
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