研究課題
個体内において、血管内皮におけるYapの転写活性の機能を理解するために、Zebrafishを用いて①血管内皮Yap/Tazが、血管内皮形成・再構築に対する機能を解析した。Zebrafishを用いて血管内皮特異的にYapの転写活性を阻害した。その結果、尾部静脈叢(CVP)に血管の退縮不良が確認された。この結果は、Yap/Tazの転写活性が血管の退縮に働いている事を示唆している。また、Yap/Tazの転写活性亢進させるものとして、血流量・血圧が関与する事が確認された。下流因子としてはYap/Taz転写活性依存的にctgf (connective tissue growth factor)の発現とactinの重合がおこり、これらが血管退縮に必須であることが明らかとなった。更に、同様の情報伝達経路が哺乳類でも保存されているか確認するために、マウスの動脈管に着目した。動脈管は胎生期に特徴的な血管であり、生後数時間で退縮するため大血管の退縮過程のモデルとして広く用いられている。動脈管での血管内皮におけるYapの挙動は、生後数時間では核内に存在し、生後1日では核外に存在していた。Yapの転写活性は、その核内局在とよく相関する事が知られており、これらの結果から、動脈管の閉鎖時にYapの転写活性が上昇していることが示唆された。以上の事から、大血管における退縮過程には、血流依存的なYap/Tazの転写活性によるctgfの発現とactinの重合が必須であることが明らかとなった。同時に、血管内皮におけるYapの転写活性亢進が内膜の肥厚化を引き起こすモデルを支持する結果でもある。
3: やや遅れている
現在抱えている問題は、培養細胞/Zebrafishで問題なく機能したレポーターシステムがTransgenicマウスでは上手く行かない事である。既に我々は、Gal4-UASを用いた系と、同様の原理に基づいたTetOff-Tet Responsive Elementsの系を試みたが、いずれも機能しなかった。上記の系は下記方法で遺伝子導入を行ったが、いずれも機能しなかった。①メダカトランスポゾンを用いた、ランダムに遺伝子導入をする方法、②大腸菌人工染色体(BAC)と、Rosa26遺伝子座を組み合わせた遺伝子導入方法。これらの問題を解決するため原因がどこにあるのか検討し、問題解決を試みる。
転写活性を検出する方法として、別の方法を模索する。まずはトランスジェニックマウスの系ではなく、AAVなどを用いた一過性発現の系を検討する。AAVによるGal/UASシステムの報告は多くあり、この系を試すのが望ましいと考える。
期待された結果が得られず、未だ克服できていない問題が存在するため。
現在、改善に向け検討しており、問題解決した次第、執行の必要があるため。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
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