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2017 年度 実施状況報告書

循環器疾患におけるSDF-1αのバイオマーカーとしての臨床的有用性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K19395
研究機関山梨大学

研究代表者

植松 学  山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00622151)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードSDF-1α / アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬 / 慢性腎臓病
研究実績の概要

Stromal cell-derived factor-1α(SDF-1α) は急性心筋梗塞や心不全などの病態下、心筋の炎症により産生され、その修復過程で重要な役割を果たすケモカインの一つである。本研究の目的は基礎実験にて報告されているSDF-1αの臨床的意義について明らかにすることである。
平成29年度は心筋梗塞や心不全で当院に入院した患者から血液サンプルの収集を継続した。また収集した血液サンプルのSDF-1α値をELISAにて測定し解析した。その結果、循環器疾患とSDF-1αの関連について、以下の2つの点が明らかになった。①急性心筋梗塞患者にアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬を投与することで、梗塞心筋からのSDF-1αの産生が抑制されることがわかった。さらに慢性期のSDF-1αの産生が抑制されることで、左心機能低下や左室リモデリングの進行が軽減することが明らかになった。この結果を査読付き英文雑誌にて報告した(J Cardiol.2018;71:367-374)。②冠動脈疾患患者において、末梢血SDF-1αの高値群は、短期間の腎機能障害進行と関連していることがわかった。そのため末梢血SDF-1α値は腎不全の予測因子になりうることがわかった。この結果を米国心臓病学会会議、日本循環器学会学術集会で報告した。
今後さらに心不全などの患者群において、SDF-1αのバイオマーカーとしての臨床的有用性について検討していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

急性心筋梗塞患者、心不全患者で来院する患者の登録、血液採取、臨床指標評価、フォローアップを行った。症例は順調に登録できており、今後も継続していく予定である。また収集した血液サンプルでSDF-1α値を測定し解析した。その結果、循環器疾患とSDF-1αの関連について、以下の2つの点が明らかになった。①急性心筋梗塞患者にアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬を投与することで、梗塞心筋からのSDF-1αの産生が抑制され、心機能低下と左室リモデリングの進行の改善に関連していることが明らかになった。この結果を査読付き英文雑誌にて報告した(J Cardiol.2018;71:367-374)。②冠動脈疾患患者における、末梢血SDF-1α値の上昇は短期間の腎機能障害進行と関連していることがわかった。末梢血SDF-1α値が腎不全の予測因子になりうることがわかった。この結果を米国心臓病学会会議、日本循環器学会学術集会で報告した。
今後さらに心不全などの患者群において、SDF-1αのバイオマーカーとしての臨床的有用性について検討していく予定である。SDF-1αのレセプターであるCXCR4、CXCR7発現細胞の種類、細胞数、その遊走能と、SDF-1αの関連についての基礎実験は、平成29年度中は施行できなかった。今後施行していく予定である。

今後の研究の推進方策

引き続き心筋梗塞患者、心不全患者で来院する患者の登録、血液採取、臨床指標評価、フォローアップを継続する。心イベント(心不全発症/悪化、心臓死、心筋梗塞、不安定狭心症)をモニターし、SDF-1αの長期予後に与える影響の解析につなげる。
これまで、臨床においてSDF-1αと、心筋梗塞後の左室リモデリング、二次心血管イベント、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬による効果、腎不全の悪化との関連が明らかになっている。基礎実験においては心筋梗塞や腎不全以外に、心不全においてもSDF-1αが重要な働きをしていることが示されている。そこで、臨床においても心不全の病態とSDF-1αが密接に関わっているか、今後検討を進めていく予定である。またSDF-1αのレセプターであるCXCR4、CXCR7発現細胞の種類、細胞数、その遊走能とSDF-1αの関連についての解析について施行していく予定である。
以上のように、SDF-1αの臨床的な意義について、今後も多面的に検討を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Angiotensin II receptor blockers suppress the release of stromal cell-derived factor-1a from infarcted myocardium in patients with acute myocardial infarction2018

    • 著者名/発表者名
      Toru Yoshizaki, Manabu Uematsu, Jun-ei Obata, Takamitsu Nakamura, Daisuke Fujioka, Kazuhiro Watanabe, Kazuto Nakamura, Kiyotaka Kugiyama
    • 雑誌名

      Journal of Cardiology

      巻: 71 ページ: 367-374

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Stromal Cell-Derived Factor-1α is Associated with Future Renal Dysfunction in Patients with Coronary Artery Disease2018

    • 著者名/発表者名
      Manabu Uematsu, Takamitsu Nakamura, Toru Yoshizaki, Chifumi Iizuka, Mika Futamata, Yosuke Watanabe, Juntaro Deyama, Tsuyoshi Kobayashi, Daisuke Fujioka, Yukio Saito, Kazuto Nakamura, Kenichi Kawabata, Jun-ei Obata, Kiyotaka Kugiyama.
    • 学会等名
      The 82nd Annual Scientific Meeting of the Japanese Circulation Society(JCS2018)
  • [学会発表] Stromal Cell-derived Factor-1α is Associated With Future Renal Dysfunction in Patients With Coronary Artery Disease2017

    • 著者名/発表者名
      Manabu Uematsu, Takamitsu Nakamura, Toru Yoshizaki, Chifumi Iizuka, Mika Futamata, Yosuke Watanabe, Juntaro Deyama, Kazuhiro Watanabe, Tsuyoshi Kobayashi, Daisuke Fujioka, Yukio Saito, Kazuto Nakamura, Kenichi Kawabata, Jun-ei Obata, Kiyotaka Kugiyama
    • 学会等名
      American Heart Association Scientific Sessions 2017
    • 国際学会
  • [備考] 山梨大学医学部 循環器・呼吸器内科 ホームページ

    • URL

      http://www.med.yamanashi.ac.jp/clinical/intern02

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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