研究実績の概要 |
コぺプチンの予後予測マーカーとしての有用性の検討として、急性心不全107症例に対して、入院時の血清コぺプチン濃度と長期予後の関連を検討した。中央値4.5年の追跡のなかで、高コぺプチングループ(>=18 pmol/L, N=47)は低コぺプチングループ(<18 pmol/L, N=60)に比べて有意に死亡/心不全の発症率が高かった(85.2% versus 77.3% at 5 years, log-rank P=0.03)。多変量解析で背景因子を補正した結果、血清高コぺプチン濃度(>=18 pmol/L)は死亡/心不全の独立危険因子であることが示唆された。 また、コぺプチンの診断マーカーとしての有用性の検討として、急性冠症候群(ACS)が疑われた連続82症例を対象に、ACSに対するコぺプチンの診断能を評価した。ACS診断に対するトロポニンT(>0.1ng/mlを陽性)の感度は43%、特異度は92%であったが、これにコぺプチン(>14pmol/Lを陽性)を組み合わせると感度は80%まで上昇し、特異度は56%となった。一方で、高感度トロポニンT(>0.014ng/mlを陽性)の感度は90%、特異度は62%であり、コぺプチンを組み合わせた際の感度は93%、特異度は48%であった。以上から、高感度トロポニンTが測定できない環境では、トロポニンTに加えてコぺプチンを測定することにより、感度が上昇し、ACSの除外診断を効率的に行うことができる可能性があることが明らかとなった。 本研究の検討結果から、コぺプチンの心血管疾患に対する診断および予後予測マーカーとしての有用性が示唆されたものと考えられる。
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