研究課題/領域番号 |
16K19402
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
武田 匡史 京都大学, iPS細胞研究所, 研究員 (40547501)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 心筋前駆細胞 / 移植 |
研究実績の概要 |
ヒトiPS細胞由来心筋特異的前駆細胞の表面マーカー(Cardiomyocyte-Committed Progenitor:CCP)の同定に成功したことを受け(特願2014-94775号)、平成28年度の研究目的は、CCP陽性心筋特異的前駆細胞移植法の確立を目指した、心外膜下投与によるCCP陽性心筋前駆細胞の移植検討を行った。モデルマウスとしては、重度免疫不全マウスであるNOGマウスを用い、冠動脈結紮による心筋梗塞モデルを作成し、その心筋梗塞モデル作成と同時に、FACSを用いて純化したCCP陽性心筋得的前駆細胞(2X106)の移植を行った。結果1か月、3か月後にcardiac troponin T陽性の心筋細胞を認めた。3か月後の心筋では一部サルコメア構造を有する成熟した心筋細胞を認めることができた。in vitroの実験で高効率に心筋細胞になる特徴を、実際に心臓への移植においても認めるかに関して、CCP陽性心筋特異的前駆細胞からどれくらい心筋になるかの検討をヒト核抗体とcardiac troponin Tの免疫染色を行ったところ、ヒトCCP陽性心筋特異的前駆細胞由来から心臓に生着し分化した細胞(ヒト核陽性細胞)のうち約95%にものぼる割合でcardiac troponin T陽性の心筋細胞に分化する結果を得た。今年度に行った2X106個のヒトCCP陽性心筋特異的前駆細胞移植の結果から、引き続き心機能改善効果をきたす必要細胞数の検討等を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在CCP陽性心筋前駆細胞をマウスの心筋梗塞モデルへの移植を行い、移植可能でかつ生体内で高効率に心筋に分化する結果を得た。そのため移植細胞数の検討や他のモデル動物への移植実験を検討できる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
NOGマウスへの移植実験で得られた結果をもとに、心筋梗塞モデルラットなどを用いて心機能改善効果の検討を行っていく必要がある。また、マウスやラットでの必要な細胞数から今後ヒトへの移植応用を検討し、平成29年度はCCP陽性心筋特異的前駆細胞の冷凍保存法や前駆細胞を増殖させる方法を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に物品購入を行った結果、27.537円の残額を得た。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に引き続き、平成28年度も物品試薬や動物の購入を検討している。
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