研究実績の概要 |
臨床現場で活用できる遺伝性心疾患の原因遺伝子同定ツールの確立を目的として、開発した新規の遺伝統計手法(Hamming Distance Ratio: HDR法)に搭載するための非血縁健常者コントロールのデータ解析・整備を行った。まず1000人ゲノムプロジェクトの健常日本人120検体の公開DNAサンプルを入手後、同プロジェクトの健常日本人サンプルの公開エクソーム解析データを用いてミトコンドリアのハプログループを解析し、日本人における推定ハプログループ頻度から代表とする20サンプルを選定した。さらに同20サンプルのうち、12サンプルに対して次世代シーケンサーを用いて全ゲノム解析を行った。新規患者サンプルを用いたHDR法の解析として、これまでにFrench-Canadianの常染色体劣性家系でHDR法を用いて疾患遺伝子の絞り込みに成功していた(Imai et al, Sci Rep, 2015)。本研究ではさらに日本人の常染体劣性劣性のミトコンドリア病家系6家系においてもHDR法を用いた疾患遺伝子の絞り込みが可能なことを実証した(Imai et al, J Hum Genet, 2016)。さらに常染色体優性疾患への適応拡大に向け、HDR法を発展させたHDR-AD法のプログラムのアルゴリズムを完成させ、臨床現場でより活用しやすくするための、現HDR法を高速化した改良アルゴリズムも開発し、ソフトウェアに搭載した。またHDR-AD法を適応させるための新規ミトコンドリア心筋症症例における解析を行い、原因遺伝子同定に成功した(Imai et al, Int J Cardiol, 2016)。
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