研究実績の概要 |
臨床現場で活用できる遺伝性心疾患の原因遺伝子同定ツールの確立を目的として、開発した新規の遺伝統計手法(Hamming Distance Ratio:HDR法)に搭載するための非血縁者コントロールのデータ解析・整備を完了した。1000人ゲノムプロジェクトの健常日本人120検体の公開DNAサンプルを入手後、同プロジェクトの健常日本人サンプルの公開エクソーム解析データを用いてミトコンドリアのハプログループを解析し、日本人における推定ハプログループ頻度から代表とする20サンプルを選定した。H28年度に行った12サンプルに対する全ゲノム解析に引き続き、H29年度には残り8サンプルに対する全ゲノム解析を完了させた。さらに、様々な実験プロトコールで解析される患者の全エクソーム解析データに対応可能とするために、バイオインフォマティクス解析手法を用いて主要な実験プロトコールに対応したコントロールデータ20人分のデータ生成を完了させた。さらにHDR法を発展させ染色体欠失構造を同定するHDR-del法を開発し、実患者での染色体欠失構造の同定に成功した(Imai-Okazaki et al, Hum Mutat, 2017)。常染色体優性・常染色体劣性・染色体欠失構造の同定全てに対して適応できるプログラムを完成させ、ソフトウェアに搭載し公開した (Imai-Okazaki et al, eLS, 2018)。さらにHDR法の適応家系の拡大(Yamamoto et al, Nephrol Dial Transplant, 2017, Kondo et al, Hum Mol Genet, 2017)および同手法をさらに発展拡大させるためにX連鎖性の新規心筋症症例における解析を行い、原因遺伝子同定に成功した(Imai-Okazaki et al, J Pediatr, 2018).
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