研究実績の概要 |
近年のヒトゲノムワイド関連研究(GWAS)によって、心筋梗塞に関連する新規の分子としてJCAD(Junctional protein associated with coronary artery disease)が同定されたが、JCADが心筋梗塞に影響する分子機構は不明である。(1)心筋梗塞は動脈血栓症であること、(2)JCADは血管内皮の接着因子であること、(3)トロンビン刺激でリン酸化修飾を受けることから、JCADは血管内皮において血栓形成を制御していると考えられる。それゆえ、in vitro, in vivo の系でJCADが血栓形成を制御する分子機構を解明する。 1.JCADの血栓症発生への影響の解明 JCADが血栓形成を制御しているか否かを直接的に確認するために、JCAD-/-マウスと野生型マウスにおけるDVTサイズを比較した。開腹手術下に下大静脈を結紮するIVC結紮モデルを用いた。手術後、day 4, 7, 14において血栓サイズをJCAD-/-マウスと野生型マウスの間で比較したところ、day4において、JCAD-/-マウスでは、DVTサイズが野生型と比べて長さ、重さともに大型となることが明らかになった。すなわち、JCADは血栓形成を制御していることが明らかとなった。 2.分子イメージングによるJCADの血栓形成への影響機序の解明 今年度の予算で蛍光顕微鏡を購入した。今後、実際に検討を開始していく。分子イメージング技術を駆使して、血栓形成において重要な役割をもつ、炎症活性や血栓関連因子(組織因子、PAI-1等)などへのJCADの影響を生体下に明らかにする。 DVTサイズを比較する際には、血栓サイズがマウスの中では一番大きく、計測に適した下大静脈を使用するが、下大静脈の場合は、周囲の腸などの腹腔内臓器や、体表から深部にあるという、位置的問題により、生体下での顕微鏡的観察は困難である。それゆえ、申請者が近年に独自に作製した(Hara T, et al, Circulation. 2014)、頚静脈のDVTモデルを使用する
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