研究課題
今年度はマウスを飼育している動物実験室において、Helicobacter hepaticus感染があり、そのクリーニング作業として、一旦、JCADノックアウトマウスを極限まで減らす必要があり、JCADノックアウトマウスを用いた研究が進行できなかった。そのため、本年度はヒト血管内皮培養細胞を用いたJCAD分子の血栓形成機序の解明を中心に検討した。ヒト血管内皮培養細胞(HUVEC)にsiRNAを用いてJCAD特異的ノックダウンを行った。JCAD特異的ノックダウンはウェスタンブロットにより確認できた。JCADのノックダウンにより、トロンビン刺激によるシグナル伝達に変化があるか否か検討した。その結果、JCADノックダウンによってトロンビン刺激後のERKの活性化が抑制された。すなわち、JCADはトロンビン刺激後のERKのリン酸化を制御しており、それにより、なんらかの血栓性ないしは血栓抑制性のシグナルを制御していることが示唆された。実際、JCADノックアウトマウスに下大静脈結紮を行ったところ、JCADノックアウトマウスでは大型の血栓が得られたことを踏まえると、このJCADノックダウンによるERKのリン酸化は血栓抑制性のシグナルであることが推察され、何らかのネガティブフィードバック機構に関与していることが推察された。今後、JCADノックアウトマウスを再び繁殖させて、研究を継続していく予定である。
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Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology
巻: 37 ページ: 1667~1673
10.1161/ATVBAHA.117.309721