研究実績の概要 |
PAHモデルマウスの作成:文献的考察に加えて試行錯誤の結果、MCTを20日毎にWTマウスに腹腔内投与し安定したPAHモデルマウスの作成が可能となった。このマウスでは肺動脈周囲の炎症に加えて右室肥大を認めた。実験では心体重比は有意に増加し、Millarカテーテルにて測定した右室圧は有意に高値であった。 PAH(WT)マウスへのCaリーク抑制薬による介入:PAHマウスおよびShamマウスにCaリーク抑制薬ダントロレンを経口投与し、①Millarカテーテルを用いて右室圧を測定、心エコーでの右室径、右室機能計測、組織学的検索を行う。さらに心筋細胞を単離し、②心筋細胞のサイズ測定、Caトランジェント観察、固定してanti-CaM, anti-GRK5, anti-HDAC4,5, anti-p-HDAC4,5の抗体にて免疫染色を行った。その結果ダントロレンの経口投与は肺動脈圧に影響を与えなかった。にもかかわらず、ダントロレンの経口投与群では心筋細胞サイズの縮小を認め、肥大が抑制されていた。さらにRyR結合CaMの減少も抑制されていた。このことからダントロレンがRYRからのCaMの解離を抑制することで、肥大を抑制した可能性が示唆された。
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