研究課題
本年度は、引き続き新規マイオカイン候補としてピックアップしたheme oxygenase-1(HO-1)の心血管病における役割についてさらに詳細な検討を行った。Akt1過剰発現による骨格筋肥大によって誘導される遠隔臓器への保護作用にHO-1が関与することが昨年までに確認できていたが、一方でCre-LoxPシステムを用いて作成した骨格筋特異的HO-1ノックアウトマウスなどを用いた検討にて、前述の遠隔臓器保護作用を仲介したHO-1の供給源は非骨格筋細胞である可能性が示唆されていた。昨年度から継続していたin vitroの実験にて、Akt1を過剰発現することで細胞肥大を誘導したC2C12筋管細胞の細胞中ではHO-1の発現は上昇しないものの、その培養上清を添加した血管内皮細胞ではHO-1の発現が上昇することが改めて確認され、さらに下肢虚血誘導後の骨格筋組織を用いた免疫組織化学染色にてHO-1は骨格筋組織中のマクロファージや内皮細胞に発現することも示された。これらの結果を論文としてまとめ、Circulation Journal誌へ報告した。また、臨床研究としても引き続き大動脈弁狭窄症患者を含む心疾患患者を対象とした活動度や筋量などを包括したデータベース作成を進めたが、患者数が依然少なく十分な統計解析を行うに至っていない。予備検討として前述のHO-1のヒト血中における挙動を評価した結果、心血管疾患患者において簡便にサルコペニアを予測するスコアリングシステムの数値と負の相関を示すことが明らかとなった。現在サンプル数を増やしさらなる解析を行っているところである。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
Heart
巻: in press ページ: in press
10.1136/heartjnl-2018-313816.
Circulation Journal
巻: 82 ページ: 2905-2912
10.1253/circj.CJ-18-0135.