研究課題/領域番号 |
16K19423
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
伊波 巧 杏林大学, 医学部, 学内講師 (80580381)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 / バイオバンク / 経皮的肺動脈形成術 |
研究実績の概要 |
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は、右心不全を発症しうる予後不良の疾患であった。外科治療や近年我々の施設を中心に飛躍的に発展している経皮的肺動脈形成術(PTPA)により、治療内容は飛躍的に発展しているが、その発症機序に関しては未だ未解明である。CTEPHの発症には、遺伝的背景だけでなく、microRNAsの関与の報告や、サイトカインの影響など、多くの因子が複雑に寄与していると推測される。本研究では、我が国におけるCTEPH治療の拠点病院である杏林大学病院と慶應義塾大学病院との共同研究体制によって、形態学的アプローチ・手術後組織を用いた病理学的および分子生物学的アプローチ・サイトカインやmicroRNA測定等によるエピジェネティクス解析アプローチを、多角的に組み合わせた集学的アプローチを実施し、CTEPHの病態を解明し予後改善と治療法発展を目的とするものである。 本研究では、肺高血圧症患者検体として約400検体を既に収集しており、国内最大の肺高血圧症バイオバンクを構築済みである。うち、CTEPHは約150検体存在しており、CTEPH患者検体を用いた解析によって、血中ビタミンD濃度やアディポネクチン濃度がCTEPH患者の臨床指標と相関すること等を解明した。現在は、CTEPHに対する肺動脈血栓内膜剥離術後の組織を用いた細胞培養等によりオミクス解析を進行中であり、さらなる病態解明に繋がるよう研究を進展させていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオバンクの構築、経皮的肺動脈形成術による治療効果の検討、など当初の目標は達成したものの、さらなる発展が期待できると総合的に判断し研究期間を延長して取組む。
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今後の研究の推進方策 |
肺動脈血栓内膜剥離術後の組織を用いた細胞培養等によりオミクス解析を進行中であり、さらなる病態解明に繋がるよう研究を進展させていく。また、CTEPH患者からの遺伝子を用いた網羅的解析によって新規発症原因遺伝子の検討にも取り組んでいく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画は当初の計画に沿って概ね順調に進展しているが、肺動脈血栓内膜剥離術による組織検体を用いる実験系の立ち上げに際して、施設内環境の都合等から次年度へ一部繰り越して使用する必要が生じた。今後は、次年度使用額を実験系立ち上げに適切に使用する予定である。
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