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2016 年度 実施状況報告書

心臓前駆細胞誘導転写因子の同定と多能性幹細胞からの心筋誘導

研究課題

研究課題/領域番号 16K19426
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

貞廣 威太郎  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60571130)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード心臓再生 / 幹細胞 / 心臓前駆細胞
研究実績の概要

(1) 心臓前駆細胞プログラミング因子の選定(済):マイクロアレイデータとcDNA ライブラリーから心臓発生過程において、心臓前駆細胞が出現する時期特異的に発現が上昇する転写因子60 個を候補因子として選定した。これらをマウス胎児線維芽細胞にレトロウイルスで感染させ、心臓前駆細胞特異的遺伝子であるMesp1 の発現をqPCR により検討した。これまでの予備実験でMesp1 を上昇させる単一因子を選定することに成功し、心臓前駆細胞誘導因子A とした。
(2) 心臓前駆細胞誘導因子をドキシサイクリンシステムで発現するマウスES 細胞を作製し、心臓前駆細胞・心筋細胞を誘導(済):心臓前駆細胞でGFP を発現するT-GFP マウスES 細胞を用いて、ドキシサイクリンシステム(Dox)で心臓前駆細胞誘導因子A を発現するES細胞株を作製した。これまでの予備実験でDox による遺伝子発現制御で無血清培地で心臓前駆細胞を誘導することに成功した。誘導効率は従来の液性因子を使用した方法と同程度であり、さらに心臓前駆細胞から心筋細胞の分化を確認した。心筋トロポニンT 陽性細胞の誘導効率は約60%と高率であった。
(3)心臓前駆細胞誘導の分子機序解明(済):心臓前駆細胞誘導をマイクロアレイで解析し、候補因子導入による遺伝子制御ネットワークを解明した。T, Mesp1, Eomes, Gsc, Mixl1 などの中内胚葉系の遺伝子が上昇し、Pax6, Sox1 などの外胚葉遺伝子が抑制されていることが判明し、心臓前駆細胞誘導因子による誘導が促進されていることが示唆された。また心臓前駆細胞分化の分子機序を解明するために、免疫クロマチン沈降(ChiP)
による検討を行い、心臓前駆細胞誘導因子がMesp1 のプロモーターに直接結合して発現を誘導していることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究は当初の実施計画のごとく、研究計画の要となる心臓前駆細胞プログラミング因子の同定に成功した。因子によるマウスES細胞からの心臓前駆細胞誘導に関しても、従来の液性因子を使用した方法と同等の誘導効率を示した。現在はその分子生物学的機序の解明を実施しており、因子により細胞運命決定に重要な働きを示す遺伝子群との直接結合を示すことが出来た。さらにヒトiPS細胞を用いて同様の手法で心臓前駆細胞誘導に成功した。

今後の研究の推進方策

現在は論文投稿の準備中の段階である。新たな実験計画としては候補因子のノックアウトによる表現型の検討を考えているが、論文投稿と並行して実験を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

参加予定であった米国心臓病学会への参加を都合により中止したことと、効率的な物品調達の結果として未使用額が発生した。

次年度使用額の使用計画

翌年度に実施を検討している次世代シークエンサーを用いてChIP-seqや、今年度に購入を検討していたqPCR試薬の購入を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Tbx6 Induces Cardiac Mesoderm Program in Fibroblasts and Pluripotent Stem Cells2017

    • 著者名/発表者名
      Taketaro Sadahiro, Mari Isomi, Naoto Muraoka, Kazutaka Miyamoto, Hiroyuki Yamakawa, Hidenori Kojima, Shou Haginiwa, Mizuha Akiyama, Yuki Kuishi, Shugo Tohyama, Hiroyuki Miyoshi, Yoshifumi Kawamura, Naoki Goshima, Keiichi Fukuda, Masaki Ieda.
    • 学会等名
      日本循環器学会
    • 発表場所
      石川県立音楽堂(石川県金沢市)
    • 年月日
      2017-03-18
  • [学会発表] Tbx6 directly programs fibroblasts and pluripotent stem cells into cardiac mesodermal cells2016

    • 著者名/発表者名
      Taketaro Sadahiro, Mari Isomi, Naoto Muraoka, Kazutaka Miyamoto, Hiroyuki Yamakawa, Hidenori Kojima, Shou Haginiwa, Mizuha Akiyama, Yuki Kuishi, Shugo Tohyama, Hiroyuki Miyoshi, Yoshifumi Kawamura, Naoki Goshima, Keiichi Fukuda, Masaki Ieda.
    • 学会等名
      ISHR
    • 発表場所
      東京コンベンションホール(東京都中央区)
    • 年月日
      2016-12-18

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公開日: 2018-01-16  

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