研究課題/領域番号 |
16K19428
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
宮本 和享 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10528714)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心筋再生 / direct reprogramming / センダイウイルス |
研究実績の概要 |
本研究で、我々は宿主遺伝子を改変しない心筋誘導センダイウイルスベクターを新たに開発し心筋誘導を行ったところ心筋作製効率は約10%と従来法の100倍に改善し、さらに拍動する心筋細胞を約10日間で作成することができた。次にマウス心筋梗塞モデルで3つの心筋誘導遺伝子をセンダイウイルスベクターでマウス心臓内に導入したところ心筋誘導効率が約1.5%に上昇した。さらに心筋誘導センダイウイルスベクターによる治療群では、無治療群と比較して、1か月後の心臓のポンプ機能が改善した。上記に示した本研究の成果を国際科学雑誌に発表した(Miyamoto et al., Cell Stem Cell 2017)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までにセンダイウイルスベクターを用いて3つの心筋特異的転写因子をマウス胎児線維芽細胞、マウス皮膚線維芽細胞、ヒト心筋線維芽細胞に遺伝子導入することで、培養皿において拍動心筋細胞の誘導に成功した。またマウス心筋梗塞モデルに直接導入することで生体内において心筋直接誘導に成功し、結果的に心機能の改善を示すことができた。これまでの予備実験を前提として実験を進めることにより上記結果を導くことができ、実験は概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り本研究の研究成果を国際的科学雑誌において発表することができた。しかし今後、本手法を臨床応用するには未だ問題点が残っている。具体的には人体へどのように投与するか、センダイウイルスベクターを導入する場合に引き起こされる免疫反応をいかにして軽減するか、などが考えられる。よって今後はマウス以外の大動物を用いて安全な投与方法の検討、また生体内での免疫反応をいかにして軽減するか、といった問題点を克服する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究を進めるにあたり、消耗品は科研費費用から購入したが、実験器具は従来通りの器具を使用しており支出額が少なく抑えられたため次年度使用額が生じた。次年度使用額と合わせ主に実験に必須と考えられる消耗品購入目的に使用する計画である。
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