研究課題
当院でこれまでに冠動脈疾患に対して経皮的カテーテル治療を施行し、睡眠呼吸障害を評価した約3年分の患者のデータベースの構築が完了している。睡眠呼吸障害を評価した患者の後ろ向き予後調査も終了している。 それら患者の冠動脈疾患治療時における責任病変冠動脈プラークに対する血管内超音波での評価・解析のための画像解析システムの構築が完了している。現時点で一部の画像解析が終了しており、睡眠検査データとの統合を行っている。これにより本研究目的である睡眠呼吸障害と冠動脈プラークの関連性についての評価が可能になると思われる。当院冠動脈疾患データベースにおいて栄養状態の評価に関しても注目している。平時からの栄養不良が睡眠障害にも影響するのではないかとの仮説に対してまずは栄養状態と長期予後との関連性について検討した。対象は2000年から2011年にかけて初回の冠動脈疾患治療を施行した患者,2853名であり,治療時のGeriatric nutritional risk index (GNRI) で3分位に分けた.主要エンドポイントは,心臓死,非致死性心筋梗塞を含むmajor adverse cardiac events (MACE)とした.GNRIの中央値は101。フォローアップ期間の中央値は7.4年で,146のイベントが生じた(7.2%).カプランマイヤー曲線ではGNRIの低下とイベントの発症の関連が認められた.多変量解析ではGNRIが高い群に対して,最も低い群の心血管イベントのリスクが有意に高い結果となった。低栄養状態が冠動脈疾患患者の長期予後と関連していることが明らかとなった。それにより、栄養状態の評価も睡眠呼吸障害の評価と同様に重要であると考えている。
2: おおむね順調に進展している
当院で冠動脈疾患に対して経皮的カテーテル治療を施行し、睡眠呼吸障害を評価した患者の後ろ向きデータベースの構築が完了している状況であり、現在データクリーニングを行っている。各セクションからのデータで再確認が必要な事項も有り、慎重に対応している。 画像解析に関してはシステム構築が終了し、解析方法論を決定後にパイロット解析を行った。その後に連続的に画像解析を行っている状況である。また、前向き介入研究の準備もすすめている。睡眠呼吸障害に対する治療介入が冠動脈疾患イベントの抑制につながるとの仮説をもとに、代替エンドポイントを冠動脈プラークとしての研究計画を立案している。治療介入の方法や研究デザインに関して準備をしている。
睡眠呼吸障害が冠動脈疾患に与える影響に関しては様々な因子が関与していると考えている。具体的には患者の栄養状態や食生活などのライフスタイルである。睡眠もライフスタイルで重要であるが、それらと共に栄養状態についても注目していきたいと考えている。本研究目的は睡眠呼吸障害が冠動脈粥腫いわゆるプラークの進展、更にはその不安定化にどのように影響するかを明らかにすることである。本研究では、冠動脈プラーク病変に対して血管内イメージングモダリティを駆使して様々な角度から冠動脈プラークを評価し、睡眠呼吸障害との関連性を詳細に検討する予定である。そこでそれらにライフスタイルのいくつかの他の指標を組み込み、冠動脈プラークに与える影響を明らかにすることで、より興味深いデータ結果が明らかになると思われる。
物品費に関して画像解析ソフトの改訂を待っている状態で有り、翌年度に繰り越した。旅費としては、緊急の用件で国際学会に参加できなかったために繰り越す。更に人件費に関しては予定の研究計画が遅れており、今後に繰り越す予定である。
画像解析ソフトならびに旅費、人件費、雑費で使用予定である。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
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