研究課題
2014年8月~2016年8月にかけて順天堂医院にて経皮的カテーテル冠動脈形成術(PCI)を施行した患者のうち、酸素飽和度モニター(PULSOX; Minolta, Osaka, Japan)を用いて睡眠呼吸障害(sleep disorder breathing: SDB)に対する簡易検査を323症例で施行し、そのうち、IVUSによる責任病変冠プラーク解析を300症例で実施した。解析手法としては病変の形態や減衰角度・石灰化角度などの質的解析、ならびにプラークの容量や最小血管径などの量的解析を行った。その結果、睡眠呼吸障害を合併した患者では合併していない患者と比較して責任病変における冠動脈プラー容量が有意に大きかった。 (224.5mm3 vs. 190.8mm3, p=0.05)また、プラークの不安定性と関連するとされているエコー減衰角度が高値である傾向と共に、減衰角度中央値以上(maximum attenuation angle >140°)の頻度が有意に高率であった。従ってこれらの結果より、睡眠呼吸障害を合併する冠動脈疾患患者は不安定性が高く、容量の大きい冠動脈病変を有する可能性があることを示唆した。今後はこれらの睡眠呼吸障害に対しての治療介入試験を検討していく方針である。
2: おおむね順調に進展している
当院で冠動脈疾患治療を施行した患者で睡眠呼吸障害の評価が出来た患者の血管内超音波検査(IVUS)で得られた画像解析が終了している。これらの画像解析データを臨床データと共に統計解析を行い、論文作成中である。また、睡眠呼吸障害を合併した冠動脈疾患患者に対する治療介入による冠動脈プラークに対する効果を判定するために前向き臨床研究を計画している。
睡眠呼吸障害を合併した冠動脈疾患患者に対する治療介入による冠動脈プラークに対する効果を判定するために前向き臨床研究を計画中である。この前向き研究を実施するために必要なスタッフや機器を準備している。睡眠呼吸障害の代表的治療機器であるCPAP(持続陽圧呼吸療法)を用いるためにそれら機械の特性や使用方法を研究スタッフがしっかりと理解し、その使用率を高めることがこの研究を進めるうえでとても重要と考えている。そのための勉強会などの開催も予定している。
今後の画像解析ソフトのアップデートのために繰り越しをせざるを得ない状況であった。また本来参加する予定の学会に参加できなかったこともあり、次年度に必要な経費が増えたため。
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