マウスに対して、右下肢を4週間にわたりテープ固定。血圧や心拍数にその後、筋萎縮の評価として下肢重量・固定肢の断面積がコントロールと比較して有意に低下しており、組織的には、筋線維においても有意に萎縮していることを確認した。血液検査においては、 肝臓機能や腎機能に有意な差はなかったが、固定していたマウスにおいて、アルブミンなど栄養状態を示唆する数値が有意に低下を認めた。筋委縮については、固定解放後5日目まで観察し、下肢重量・断面積は有意に低下しており、萎縮が残存していると考えた。同モデル をサルコペニアモデルマウスとし、血管新生に影響があるサイトカインをウェスタンブロットで評価したが、有意差がでるような結果は得られなかった。 つづいて固定開放5日目に、右大腿部の血管を露出し、電気メスで凝固をおこない下肢虚血モデルマウス作製をおこなった。虚血評価 としては、術後にレーザードップラーによる血流評価をおこない、下肢虚血に陥っていることを確認した。その後、7日後・14日後と それぞれレーザードップラーによる血流評価をおこなった。7日後ではコントロールと比較し有意な差はなかったが、14日後に関して は、有意に血流改善が乏しい結果が得られた。 また、CD31蛍光染色を行い、毛細血管密度を評価したところ、有意ではないが、サルコペニアモデルマウスで密度が低下している傾向が認められた。 しかし、下肢虚血作製後の筋肉を採取し、ウェスタンブロットで血管新生に関与するサイトカインがコントロールとサルコペニアモデルマウスで有意に変化している所見は現状では認めていない。 以上より、作製したサルコペニアモデルマウスにおいて、筋肉萎縮に伴い下肢虚血後の血管新生が減弱している可能性が示唆された。 引き続き、その原因についてはウェスタンブロットでの検証を含め実験していく予定である。
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