本研究は、リン脂質代謝酵素である細胞外分泌性ホスホリパーゼA2(sPLA2)の心血管病における役割を解明することを目的として行われた。結果として、1)V型sPLA2は大動脈内皮細胞に高発現していること、2)アンジオテンシンII刺激に伴い、内皮細胞から分泌されたV型sPLA2が不飽和脂肪酸(特にオレイン酸、リノール酸)を産生していること、3)それに伴い大動脈壁の中膜平滑筋層におけるリシルオキシダーゼ(細胞外マトリックスを架橋して組織を安定化する酵素)の発現を促進し、アンジオテンシンII誘発性の急性大動脈解離を抑制していることが明らかとなった。
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