研究課題
我々はSLPI欠損マウスはインフルエンザウイルスの感受性が高いのではないかと仮説し検討を行った。SLPI欠損マウス及び野生型マウスにインフルエンザウイルスを投与し生存率を確認したが有意な差を認めなかった。また、インフルエンザウイルス感染症に伴う体重減少率を検討したところ、SLPI欠損マウスでは野生型に比べ減少率が高い傾向にあったが、有意な差を認めなかった。次にSLPI欠損マウス及び野生型マウスの肺内のインフルエンザウイルス量を検討したが、有意な差を認めなかった。最後にSLPI欠損マウスと野生型マウスのインフルエンザウイルス感染症に伴う全身症状の差の原因を検討した。各マウスの肺内の炎症性マクロファージの分化に注目し検討したところ、SLPI欠損マウス由来のマクロファージでは野生型マウスに比較して炎症性マクロファージの比率が高かった。次に修復に関与するとされるM2マクロファージの割合を検討したところ、SLPI欠損マウスでは野生型マウスに比較してM2マクロファージの比率が低かった。上記よりSLPI欠損マウスでは野生型マウスに比較して M1/M2マクロファージの比率が増加していた。次にこの機序を検討するためにM1マクロファージの誘導に関与されると言われている炎症性サイトカインを検討したところ、SLPI欠損マウスでは、野生型マウスに比較して IFNγやTNFαに差を有していた。これ等の結果からSLPI欠損マウスでは炎症性サイトカインの発現が増加しており、マクロファージをM1(炎症性)マクロファージに誘導することから肺炎症が増強する事が示唆された。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Thorax
巻: 72 ページ: 1074-1083
10.1136/thoraxjnl-2016-209359
BMC pulmonary medicine
巻: 17 ページ: e1-
10.1186/s12890-017-0419-1