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2017 年度 実施状況報告書

肺動脈付着細胞を用いた慢性肺血栓塞栓症動物モデル確立と肺血管リモデリング機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K19444
研究機関千葉大学

研究代表者

重城 喬行  千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (90736422)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード慢性血栓塞栓性肺高血圧症
研究実績の概要

本研究は肺動脈に付着・増殖する細胞を用いて肺動脈を閉塞し、肺動脈リモデリングを伴った肺高血圧症モデルを作成することで、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)モデル動物を作成する狙いがある。計画立案時点で動物への投与を計画していた細胞はCTEPH器質化血栓から二次的に発生した悪性細胞(Sarcoma-like cells: SCLs)である。SDラットへの投与では免疫系に排除されるためか生着しなかった。T細胞免疫を欠いたF344ラットへの投与では肺動脈に生着するラットが認められたが、安定した生着条件が得られていない。重症免疫不全(SCID)マウスでは肺動脈への生着は見られるが、SCLsの強い悪性度のため1ヶ月以内に死亡し長期生存が得られなかった。
2016年に肺動脈の原発性悪性腫瘍である肺動脈血管内膜肉腫の手術検体から細胞株を樹立し、本研究の検討に加えた。この細胞をSCIDマウスの背部に皮下注射することで生着を確認した。静脈内投与では肺血管床にトラップされ生着する。内膜肉腫細胞では血小板由来増殖因子受容体(PDGFR), 血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)の高発現を認め、マルチチロシンキナーゼ受容体阻害薬であるパゾパニブの投与を行い、動物に形成された腫瘍の縮小を確認した。内膜肉腫細胞について得られた知見については第57回日本呼吸器学会学術講演会でポスター発表を行った。さらに研究成果をまとめた論文は現在海外学術雑誌に投稿し、査読中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成29年度までの実験計画では肺動脈への安定した投与細胞の生着条件を決定する予定であったが、長期生存を得るという目的も含めた条件が得られていない。これは使用している細胞が自律性増殖を来す悪性細胞である事が原因として考えられる。CTEPHの器質化血栓から得られる非悪性細胞の投与は予備実験で行っているものの、免疫抑制動物においても細胞の生着が得られないことを確認している。一方で、各細胞については特徴的な分枝の高発現を確認している。SCLsでは血管新生因子かつ接着因子であるMatrix metalloproteinase (MMP)のいくつかのサブタイプが高発現していることを確認している。内膜肉腫細胞では血小板由来増殖因子受容体(PDGFR), 血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)のなどチロシンキナーゼ受容体の高発現を確認している。こうした分子の高発現が肺動脈内腔での細胞増殖に寄与している可能性について着目している。

今後の研究の推進方策

aSCLsと内膜肉腫細胞は肺動脈内腔で細胞増殖を来す点でCTEPHとの類似点があると考える。平成30年度中は血管内腔に起こる異常な細胞増殖及び内皮細胞との相互作用という点にフォーカスを置いて検討を行っていきたいと考えている。具体的にはSCLsと内膜肉腫細胞、さらにはCTEPH器質化血栓より分離される非悪性細胞(内皮細胞や筋線維芽細胞)について増殖因子や接着因子のRNA, 蛋白の網羅的解析を行う。さらに血管リモデリング部分からはLaser microdissectionにてピンポイントで組織を切出しRNAを抽出することで細胞増殖局所でのmRNAの発現プロファイリングをin vivoで確認していく方針としている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 肺動脈内膜肉腫 (pulmonary artery intimal sarcoma)の細胞株樹立2017

    • 著者名/発表者名
      重城喬行、坂尾誠一郎、植田初江、内藤亮、菅正樹、三輪秀樹、松村茜弥、須田理香、加藤史照、西村倫太郎、石田敬一、増田政久、田邉信宏、巽浩一郎
    • 学会等名
      第57回日本呼吸器学会学術講演会

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公開日: 2018-12-17  

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