研究課題
重症喘息/難治性喘息患者の難治化の要因として従来からの好酸球性炎症に加えて好中球炎症の関与が報告されている。特に近年の肥満による全身炎症が重症喘息/難治性喘息に深く関わっていることが明らかになってきている。加えて、成人肥満の増加のみならず小児肥満の増加も報告され、肥満による喘息コントロールの難治化、重症化は今後の喘息診療の大きな課題である。本研究ではマウス肥満喘息モデルを用いて、オートファジーやインフラマソームに焦点をあて、重症肥満喘息の難治化の病態を解明する。さらにはオートファジー及びインフラマゾームを介した気道炎症制御による治療法の開発に挑む。1) 肥満喘息モデルマウスの作成:野生型マウス(C57BL/6, 3-4週齢)に普通食(Chow)あるいは60%の高脂肪食(HFD)を12-16週負荷し肥満マウスを作成した。肥満マウスを用いてハウスダスト(HDM)感作による喘息モデルマウスを作成し、気管支肺胞洗浄(BAL)及びメサコリン負荷による気道過敏性(AHR)の評価を行った。また一部肺を用いてHE染色により病理評価を行った。2)遺伝子改変マウスの入手と維持・繁殖:LC3-GFPマウス、Atg5 floxマウス、Atg5 KOマウスを入手し、維持・繁殖を行っている。3)肥満喘息におけるオートファジー:オートファジー欠損マウスを用いて、高脂肪食負荷による肥満喘息マウスの作成を行っている。
2: おおむね順調に進展している
野生型マウスを用いた検討により、肥満モデル及び肥満喘息モデルの作成法を確立した。またBAL及びAHRによる気道炎症や気道気道抵抗も安定的な評価が確立された。また遺伝子改変マウスの入手及び維持繁殖も良好である。
オートファジー欠損マウスを用いて肥満喘息マウスを作成中であり、このマウスを解析し肥満喘息におけるオートファジーの役割を解明していく。またLC3-GFPマウスを用いて肥満喘息における各細胞レベルでのオートファジーの可視化にも挑む予定である。一方で高脂肪食負荷に16週間を要することから、マウスの維持と管理に予想以上の労力を要している。
高脂肪食負荷による肥満マウスの作成に4ヶ月かかる。作成した肥満マウスは、気道過敏性や気管支肺胞洗浄液の解析を優先して行った。そのため当初予定したウエスタンブロットや共焦点顕微鏡による解析用のマウスが当該年度にそろわず、次年度に行う予定となったため。
抗体やマウス高脂肪食の購入及び必要な遺伝子改変マウスの維持・購入に使用する予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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