研究課題/領域番号 |
16K19451
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
玄山 宗到 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (50770830)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アディポネクチン / 肺線維症 |
研究実績の概要 |
特発性肺線維症(IPF) は胞隔炎として始まり、慢性炎症による肺胞領域の破壊を伴って間質の線維化へと進行する予後不良の難病である。近年肺気腫と肺線維症には、老化や喫煙以外に共通の病態(分子)が関与し、肺気腫合併線維症(CPFE)という疾患概念も提唱されている。当教室では、アディポネクチン(Adiponectin: 以下APN)の持つ多様な機能(炎症抑制、アポトーシス抑制)に着目して、APN KOマウスが加齢と共に肺気腫や全身性炎症などヒトCOPDに類似病変を呈することを示した。APNの多様な作用と予備実験と関連既報から、本研究では①ブレオマイシン肺臓炎におけるAPN の関与解明、②最新オミックス技術を駆使した線維化制御機構の解明、③ APNによる肺線維症の治療法開発の3点について検討中である。 当教室にて見出された予備実験結果と既報をもとに、肺と脂肪細胞という意外な関係(臓器連関)を結ぶ善玉アディポカイン: APNが、COPDのみならず、肺線維症においても病態形成や治療に応用しうると仮説を立てた。 まず、WT miceとKO miceにBleomycin (BLM) を経気道投与して線維化を比較した。HOP(ハイドロキシプロリン)の定量により、APN KOマウスにおけるBLM誘導性肺線維症モデルは、線維化増加を示し、APNが肺線維症に保護的に作用することを確認した。また、無刺激APN KOマウス肺のDNA Microarrayから、線維化を示唆するパスウェイ(cell death and survival, connective tissue disorder)が上位にランクすることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HOP(ハイドロキシプロリン)の定量により、APN KOマウスにおけるBLM誘導性肺線維症モデルは、線維化増加を示し、APNが肺線維症に保護的に作用することを確認した。また、無刺激APN KOマウス肺のDNA Microarrayから、線維化を示唆するパスウェイ(cell death and survival, connective tissue disorder)が上位にランクすることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
種々の網羅的解析(Proteomics, MicroRNA Array, Metabolomics)を加えることにより、肺線維症のさらなるメカニズム解明と、治療応用を検討予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が予想以上に順調に進んだため、消耗品などの諸費用が軽減できた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後はさらなるメカニズム解明と治療応用を予定しており、翌年度分に研究計画を実行するためには欠かせない。
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