研究課題
EGFR遺伝子変異を伴う肺癌は,日本人の非喫煙者に発生する肺がんの半数以上を占め,非常に重要な疾患群である。EGFRチロシンリン酸化阻害薬(TKIs)は,がんの直接的な原因であるEGFRの増殖シグナルを阻害することで劇的な効果を示すものの,獲得耐性が生じることが未解決の課題である。その耐性機序の50-60%は,耐性遺伝子変異であるEGFR T790Mであることが知られている。本研究では,EGFR-TKIs,抗EGFR抗体および血管新生阻害薬を併用し集学的にEGFRを阻害することで耐性を克服するのみならず,長期的な肺癌の制御,治癒を目指した治療戦略の基礎的検討を行い,臨床試験のための基礎データ収集することを目的としている。EGFR T790Mを有する肺癌細胞株2種類を用いてin vivoで第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ、抗EGFR抗体セツキシマブ、血管新生阻害薬ベバシズマブ3剤併用療法の効果につき検討した。それぞれの薬剤の単剤での効果は限定的であったが、2剤併用療法(オシメルチニブ+セツキシマブ、オシメルチニブ+ベバシズマブ)、3剤併用療法(オシメルチニブ+セツキシマブ+ベバシズマブ)はより高い抗腫瘍効果をしめした。さらに興味深いことに3剤併用療法は2剤併用療法より深い寛解をもたらした。また3剤併用療法による有害事象は2剤併用療法、単剤療法と比べて増加しなかった。続いて3剤併用療法がなぜ高い効果を有するかについて検討した。腫瘍微小環境においてVEGF,HIF-1などの増多を認め、併用療法がなぜより有効であるかの病態であると推察された。
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