研究実績の概要 |
昨年に引き続き、マウス治療モデルを使用したSurivin発現抑制による治療効果のin vivo解析を行った。予めsiRNAでsurvivinをknockdownしたKRAS-mutant adenocarcinoma cellsをマウスの皮下に移植し、その後trametinib、ABT-263を経口投与した。siRNAの効果は減弱するため、移植10日でatellocollagenを用いて、knockdown効果を持続させた。siRNA未介入群に比較して、survivin knockdown群では有意な腫瘍の縮小を認め、さらにsurvivin knockdownおよびtrametinib, ABT-263治療群では著しい腫瘍縮小を認めた。また腫瘍の重量についても有意差を持ってsurvivin knockdown群で減少しており、さらにsurvivin knockdownおよびtrametinib, ABT-263治療群では著しい腫瘍重量の減少を認めた。次に札幌医大肺癌データベースを使用し、survivin蛋白の発現量と肺腺癌症例の術後経過の相関をKaplan-Meire法で解析した。具体的には同データベースの全症例の肺癌組織を含むtissue microarrayを対象に免疫組織化学的にsurvivin蛋白発現の有無、発現量を評価した。Survivin高発現群では有意にOverall survivalが短かった。今回検討に用いたKRAS-mutant adenocarcinoma cellsであるH358,H441はともにEcadherin, TTF-1を発現する上皮型のAdenocarcinoma cellsだが、それらのTTF-1をknockdownすると、細胞のviabilityが低下した。またそれと同時にsurvivinも低下する傾向もみられ、TTF-1依存性の肺腺癌は一部、survivinにも生存を依存している可能性が示唆された。
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