研究課題
肺胞微石症 (Pulmonary Alveolar Microlithiasis, PAM) は、1933年Puhrによって命名された希少疾患である。本症はⅡb型 (Npt2b) ナトリウムリン共輸送体遺伝子 (SLC34A2) の機能喪失による常染色体劣性遺伝疾患で、同胞発生が約半数で、男女差はない。臨床経過としては肺胞内に主としてリン酸カルシウムからなる微石が生じ、その後肺胞壁に炎症、線維化を伴い進行するが現在まで治療法はなく本研究の課題である。本申請研究では以前に発表した低リン食治療法に着目して研究を進め、低リン食療法の容量効果・副作用解析をさらに進展させ、動物実験から実際に臨床治験へ向けたトランスレーショナルな研究を目標としている。研究にあたっては、同疾患モデルマウスを以前所属していた米国の研究室から取り寄せなければいけないが、その手続きに時間を要したため、やっとスタートラインに到達したところである。
4: 遅れている
2016年3月までに米国シンシナティ大学とのMTAを締結しマウスの輸入ができる予定であったが、一部同マウスの特許を持つ米国サノフィ社とのMTAが必要であることが判明し、同年春より交渉を開始した。先方から提示されたMTAの条件が非常に厳しく、そのままでは締結は困難であり、交渉が難航。税理士よりアドバイスをいただき当大学担当者と何度にもわたる交渉の末、2017.2月、MTA締結に至る。その後、マウス輸入元のシンシナティ大学に輸送手続き再開を依頼。2017.4月上旬に輸送用マウスの準備ができた旨の連絡をいただいた。2017年初夏までには研究を再開できる予定となり現在準備を進めている。
マウス輸入完了後、当大学SPF区域内で繁殖を行い実験を再開する。食餌リン量と治療効果の関係、治療期間と治療効果の関係、骨粗鬆症を含めた他の副作用の検討を詳細に行ない、PAMに対する低リン食治療の有効性を示す。また実際のヒトを対象とした臨床治験に向けては低リン食だけでは効果が不十分な可能性も考えられるため、慢性腎不全における高リン血症治療薬のリン吸着薬を投与する方法も同時に検討したい。
本来マウス輸入にかかる費用をに捻出する予定であったが、本年度内に間に合わなかったため次年度に繰り越させていただいている。
2017年度初めには輸入が完了し支払いに使用することになると考えている。
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