研究課題
肺胞微石症はSLC34A2遺伝子変異が原因で肺胞内にリン酸カルシウム結石を生じる希少肺疾患である。日本は世界で最多の症例報告があるが現在まで有効な治療法はなく、その開発が急務である。本申請研究では、低リン食療法の容量効果・副作用解析をさらに進展させることを目的に研究を進めた。容量効果・副作用解析では30-50%程度のリン低減食で有効であることを証明し、懸念された骨量低下も認めなかった。しかし特に低齢マウスで体重減少が確認され、一般にリン摂取量はタンパク質摂取と相関することから栄養障害が原因と推測する。そのため臨床応用へ導くには食事制限に頼らない新たな視点の治療が求められる。解決策として、慢性腎不全時の高リン血症に適応のあるリン吸着剤の併用療法が、タンパク質を減らさずにリン摂取量を減らすことができる点に着目し、さらに検討を進めている段階である。また肺胞マクロファージは微石を貪食し分解する過程で機能障害を呈し、肺胞蛋白症のような肺サーファクタントの蓄積が生じる。肺胞マクロファージ機能障害は、特定の粉塵吸入を契機に発症する肺胞蛋白症発症例など実際の臨床でも重要な課題である。本研究申請ではTomocube 3D顕微鏡を用い、肺胞微石症マウスの肺胞マクロファージ内に微石が存在することを明らかにした。今後は、微石という異物貪食を契機に肺胞マクロファージが機能障害を起こすメカニズムを解明したい。肺胞微石症の病態をより詳細に明らかにできるだけでなく、肺胞マクロファージをターゲットとした新規治療法の開発という新しい研究シーズにつながることも期待される。
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