気道上皮細胞は主に繊毛細胞と分泌細胞から構成され、その下に基底幹細胞が存在する偽重層構造を有する。基底幹細胞は自己増殖し、繊毛細胞と分泌細胞に分化して組織の維持や修復に働く。本研究において、3次元オルガノイド培養システムとマウス気道傷害モデルを用いて、平常時はBMPシグナルが基底幹細胞の細胞増殖を抑制し、傷害時にBMPのアンタゴニストが気道の間質細胞より産生され、基底幹細胞の増殖を促進するというモデルを示した。また、気道傷害時には一過性に細胞が過密状態になり、その後アポトーシス細胞が周囲の細胞に押し出されて細胞密度が平常時と同等に回復するという新たな上皮細胞の修復過程を明らかにした。
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