研究課題/領域番号 |
16K19485
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
原 怜史 金沢大学, 附属病院, 医員 (80749820)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 軽鎖 / 発現ベクター / トランスジェニックマウス |
研究実績の概要 |
1)発現ベクターの作成:当初予定していたヒト、マウスキメラ抗体ベクターに加え、より患者病態に近い可変領域・定常領域ともヒトの完全ヒト型抗体ベクターの2種類を作成する方針とした。ヒトκ定常領域のクローニングを行い、可変領域を組み込んだベクターに定常領域を組み込み、発現ベクターを作成した。 2)遺伝子導入と蛋白濃度測定:当初予定していたトランスフェクトーマの作成は、エレクトロポレーション後の細胞上清中の蛋白分泌を確認することができなかった。その原因を調べるため、RNA発現を定量的PCRにて確認すると発現を認めた。しかしながら、蛋白発現を免疫染色およびウェスタンブロット法にて確認したが、蛋白の発現は確認できなかった。そのため、ストラテジーを変更し、一過性遺伝子導入の系に実験系を変更する方針とした。lipofectamine3000を用いて、CHO細胞、HEK293細胞に遺伝子導入を行った。上清の蛋白濃度を測定すると、CHO細胞で10μg/ml、HEK293細胞で1-5μg/ml程度のκ濃度を確認し、目的の蛋白を得ることができた。 3)In vivoモデルの作成:ヒトκ定常領域を組み込んだ、トランスジェニックマウスを作成するため、コンストラクトを作成した。筑波大学へ受託依頼を行い、現在トランスジェニックマウス作成途中となっている。 4)取り込みによるIn vitroモデルの作成:マウスマクロファージであるRAW264.7をLPSにて刺激し、κを1時間インキュベートし、その後免疫染色を行ったところ、取り込まれることを確認した。 5)強制発現系によるIn vitroモデルの作成:HEK293細胞およびCHO細胞にトランスフェクションを行い、数日後に免疫染色を行った。その結果κの発現が確認された。次にHK-2という近位尿細管由来細胞を使用し、同様の検討を行ったが、こちらもκの発現が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発現ベクターの作製は予定通り終了したが、その後のトランスフェクトーマの作成に関して、エレクトロポレーション後の細胞上清中の蛋白分泌を確認することができなかった。このためストラテジーを変更し、一過性遺伝子導入の系に実験系を変更する方針とし、lipofectamine3000を用いて、CHO細胞、HEK293細胞に遺伝子導入を行い、目的の蛋白を得ることができた。これによる遅れが生じている。 トランスジェニックマウスの作製は現在は行っているが、2017年5月以降に実験を行うことができる見通しであり、遅れは僅かであると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1)トランスジェニックマウスの解析:ヒトκ定常領域を組み込んだ、トランスジェニックマウスが完成予定となっている。まずは、RNA、蛋白レベルでのヒトκの発現を確認する。次に、表現型を確認するために、腎臓、肝臓の組織のHE染色、電顕を確認する。また、血清も経時的にフォローし、腎機能、血中ヒトκをフォローする。 2)取り込みによるIn vitroモデルにおける分解抵抗性の確認:2016年度に行ったマウスマクロファージにおける取り込みモデル、あるいは近位尿細管由来細胞への取り込みモデルを用いて、今回のκ蛋白が分解抵抗性であることを確認する。 3)不死化培養ポドサイトにおいても同様のκが取り込まれるか確認を行い、取り込みの機序、分解抵抗性の機序を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品を含む物品費の端数が残ったため
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次年度使用額の使用計画 |
今後継続して行う実験(トランスジェニックマウスおよび細胞実験)の際に必要となる物品の購入費へ充てる予定である
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