研究課題
1)変異型κ分泌トランスジェニックマウスの解析:変異型κを分泌するマウスは18ヶ月経過後、脾臓内にκの結晶を含むマクロファージが出現したが、腎には病変を作らなかった。血中および尿中の変異型κを測定すると少量だったため、分泌量が少ないことが病変形成に至らなかったと考えられた。2)in vitroマウス培養細胞への変異軽鎖取り込み:マウス培養マクロファージへ変異型κを投与したところ、κの取り込みが確認された。結晶形成の有無について、細胞電顕を行ったところ、結晶の形成がみられたことから、変異型κの配列が結晶の形成に関与していることがわかった。また、近位尿細管培養細胞(HK-2)へも変異型κの取り込みが確認されたが、割合は多くなかった。また、不死化ヒト培養ポドサイトへの取り込み実験を京都大学腎臓内科との共同で行ったが、取り込みは充分でなく、培養ポドサイトへの取り込みに関しては、通常状態では起こらないことがわかった。3)大腸菌を用いた組み換え蛋白発現1)の問題があったため、変異型κを大腸菌を用いて大量に精製しマウス腹腔内投与を繰り返すことで腎病変を誘導するモデルの作成を目指している。このため、pETベクターを用いて変異型κの発現を試みた。その結果Fanconi症候群患者由来κ、健常人由来κは可溶化蛋白の精製が可能であったが、変異型κは可溶化が困難でありaggregateしやすい性質があることがわかった。この性質と病態との関連の解明、aggregateした変異型κの可溶化に現在取り組んでいる。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Medicine
巻: 98 ページ: e13915
10.1097/MD.0000000000013915