研究課題/領域番号 |
16K19488
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
後藤 俊介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40457057)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 慢性腎不全 / ヒアルロン酸 / グリコサミノグリカン |
研究実績の概要 |
Collagenofibrotic glomerulopathyはⅢ型コラーゲンの糸球体への沈着を特徴とする疾患で、腎予後は悪く10年で50%が透析導入になるといわれている。現在までに国内で30例程度しか報告がない稀少腎疾患であるが、この疾患の病因・病態はほとんどわかっておらず、治療法も確立されていない。我々は最近本疾患においてグリコサミノグリカンの一つであるヒアルロン酸が関連することを見出した。本研究はcollagenofibrotic glomerulopathyとヒアルロン酸に関連する因子や他のグリコサミノグリカンとの関連について検討した。 本年度は、ヒアルロン酸の合成酵素であるHAS-1、HAS-2、HAS-3および分解酵素であるHYAL-1、HYAL-2、HYAL-3、HYAL-4の血球中および尿中のmRNAの解析、ヒアルロン酸の増加作用のあるTGF-β、IL-4の血清中の解析、グリコサミノグリカンの1種であるコンドロイチン硫酸の解析について予備的検討を行った。 結果としては、血球中および尿中のヒアルロン酸の合成および分解酵素のmRNAおよび血液中のTGF-β、IL-4においては、collagenofibrotic glomerulopathy症例において特徴的な変化は認めなかった。ただコンドロイチン硫酸の解析において、血清中にコンドロイチン硫酸プロテオグリカンのコアタンパクがcollagenofibrotic glomerulopathy症例において著明に高値である可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載の計画について、予備的な検討を行い、その結果、血清中にコンドロイチン硫酸プロテオグリカンのコアタンパクがcollagenofibrotic glomerulopathy症例において著明に高値である可能性が示された。またヒアルロン酸に関連した合成酵素や分解酵素やヒアルロン酸を増加させるTGF-β、IL-4については関連していない可能性も示された。コンドロイチン硫酸プロテオグリカンのコアタンパクが著明に高値である可能性が示されたことはcollagenofibrotic glomerulopathyにおける病因・病態を解明する手掛かりになるかもしれず、今後この結果について詳細に検討する予定である。以上の状況により、現在までのところ本研究はおおむね順調に進捗していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、希少疾患であるcollagenofibrotic glomerulopathyにおける病因・病態を解明することである。本年度の検討でコンドロイチン硫酸プロテオグリカンのコアタンパクが著明に高値である可能性が示されたことから、今後この結果について詳細に検討する予定である。具体的には今回著明高値を示したコンドロイチン硫酸プロテオグリカンのコアタンパクに対する抗体を用いて免疫沈降を行い、その後LC/MS/MSを用いてこのコアタンパクが何か解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Collagenofibrotic glomerulopathyとヒアルロン酸に関連する因子や他のグリコサミノグリカンとの関連についての検討において、計画していた研究のなかのいくつかで予備的検討の段階で関連が乏しいことが示されたため、当初の予定よりも物品費の支出が少なくなり、次年度使用額が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の検討によって、Collagenofibrotic glomerulopathyにおいてコンドロイチン硫酸プロテオグリカンのコアタンパクが著明に高値である可能性が示されたため、このコアタンパクの精製・解析に今年度の繰越額を充てる予定である。
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