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2017 年度 実施状況報告書

テーラーメイド医療を目指したIgA腎症における軽鎖の検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K19492
研究機関長崎大学

研究代表者

北村 峰昭  長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70646835)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードIgA腎症 / 軽鎖
研究実績の概要

IgA腎症においてλ鎖が優位な症例と同等な症例、κ鎖が優位な症例3群で比較したところκ鎖が優位な症例で血清Crが高値であったため、軽鎖沈着パターンにより腎予後に差があると考え多施設コホート研究に取り組んでいる。しかしながら、現時点では十分な症例数の確保が困難であり、腎生検時所見に基づく横断研究に重点を置いている。
1996年~2013年に長崎大学病院とその関連病院でIgA腎症と診断された464症例において、軽鎖の沈着でλ鎖が優位な症例と非優位な症例を比較した。λ非優位例では管内細胞の増多と上皮下高電子密度沈着物(EDD)のある症例が有意に多く、一部はハンプ様の構造物も観察された。IgA腎症と診断された症例のうちλ非優位例では感染関連腎炎が含まれている可能性が示唆された。
次に上皮下EDDの有無でこれら464症例の検討を行った。年齢は38±18歳、男性214例、女性250例で、上皮下EDDは51例で認めた。上皮下EDDを認めない症例と比較し、有意に血清総蛋白、血清アルブミン、血清C3が低下し、メサンギウム細胞の増殖、管内細胞の増多を示す症例が多かった。IgAが基底膜内に沈着した症例やλ鎖が優位でない症例の割合が高かった。ハンプ様のEDDと基底膜内にEDDを認めた症例は、それぞれ9例と17例であった。
ハンプ様の上皮下EDDと低C3血症、λ鎖の非優位性は感染関連糸球体腎炎を示唆する所見とされ、IgA腎症と診断された症例の中に感染関連糸球体腎炎が含まれているものと考えられた。IgAが優位に染色される感染関連腎炎は予後が悪いことが知られており、IgA腎症として非典型的な所見を認める場合には、IgA腎症とは異なる機序のIgA沈着を想定し、病歴や臨床経過に留意する必要があると考えられた。
本研究の内容については2017年の日本腎臓学会とアメリカ腎臓学会で発表し、現在論文化を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

λ鎖優位例とλ鎖非優位例を対象としたコホート研究に関しては、関連施設における情報収集に時間を要しており、進捗が大幅に遅れている。一方で、腎生検時のデータに基づいた研究については、ほぼデータ収集が完成し、解析も終了しているため論文化を進めている段階である。

今後の研究の推進方策

腎生検時のデータに基づいた横断研究の結果をまとめて論文化し近日中に投稿予定である。論文投稿後に修正を求められることが予想されるが、期間内に受理されるよう鋭意努力する。また、コホート研究については、引き続き情報の収集を進めている。

次年度使用額が生じた理由

当初コホート研究における関連施設でのデータ入力に関して、アルバイトによるデータ入力を予定していたが、個人情報保護の観点から常勤職員によるデータ入力にせざるを得なくなったため、人件費の支出がない状況となっている。今後は人件費に相当する費用を、病理標本の観察に必要な顕微鏡や画像解析ソフトの購入などへ振り替え、横断研究の内容をさらに充実させる方針としている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] IgA腎症における軽鎖染色の意義2017

    • 著者名/発表者名
      北村 峰昭
    • 雑誌名

      BIO Clinica

      巻: VOL.32 No5 ページ: 77-81

  • [学会発表] 上皮下高電子密度沈着物を伴うIgA腎症の臨床病理学的特徴2018

    • 著者名/発表者名
      北村 峰昭
    • 学会等名
      日本腎臓学会
  • [学会発表] IgA腎症と紫斑病性腎炎における上皮下depositについての検討2017

    • 著者名/発表者名
      北村 峰昭
    • 学会等名
      日本腎臓学会
  • [学会発表] Clinicopathological findings of IgA nephropathy with subepithelial deposits2017

    • 著者名/発表者名
      Mineaki Kitamura
    • 学会等名
      American society of Nephrology
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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