研究課題
前年度のin vivo実験において、外因性アルドステロンが尿中酸排泄を促進することは確認できたが、抗アルドステロン薬であるエプレレノンによる酸排泄阻害効果は認めず、エプレレノンが十分に作用しなかったことが原因と考えられた。そのためエプレレノン投与の代用として、両側副腎摘出(ADX)により内因性アルドステロンを欠損させたうえで、アンモニア排泄トランスポーターRhcgの発現を検討した。C57BL/6Jマウスをもちいて①Sham群、②ADX群、③ADX+アルドステロン持続皮下投与群を作製し、すべての群にNH4Cl飲水による酸負荷を施し、尿中酸排泄量、Rhcg mRNAと蛋白の発現変化を検討した。その結果、尿中酸排泄量は①Sham群に比し②ADX群で減少し、③ADX+アルドステロン投与群で回復した。Rhcgの発現については、腎組織内mRNA、腎組織全細胞蛋白分画、膜蛋白分画内のいずれにおいても、尿中酸排泄量と相関して発現が変動した。また免疫染色法によって、特に腎髄質外層の集合尿細管間在細胞のRhcg蛋白が、ADX、アルドステロン刺激により変動していた。このことより、アルドステロンはRhcgの発現調節を介して、尿中酸排泄を制御することが示唆された。またユビキチン蛋白の発現については、①Sham群に比し②ADX群で減少し、③ADX+アルドステロンで増加することが、特にRhcgが発現する間在細胞で認められた。ユビキチン蛋白の発現が酸負荷で増加することは、in vitro、in vivoで確認している。アルドステロンも直接的または間接的にユビキチンープロテアソーム系に作用することが示唆された。以上より、Rhcgはアルドステロンとユビキチンープロテアソーム系両者の相互作用により発現調節されることが示唆された。
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PLoS One.
巻: 12(8) ページ: e0184185
10.1371/journal.pone.0184185.