研究実績の概要 |
最近申請者は腎糸球体ポドサイトにおける転写因子KLF4およびDNAメチル化酵素DNMT1を介したエピゲノム調節について報告した(JCI2014, KI 2015)が、本研究においては、それらをつなぐ因子としてヒストンアセチル化酵素KAT5/Tip60に着目して検討を進めた。 ポドサイト特異的KAT5ノックアウト(KO)マウスを作成したところ、著明なアルブミン尿、巣状分節性糸球体硬化病変を認めた。KOマウスのポドサイトにおいては、ネフリンの発現が低下しており、ポドサイト数の減少、TUNEL染色陽性ポドサイトの増加が認められた。糖尿病性腎症においては、予備検討と同様KAT5発現が低下していることが確認され、既報の方法でKAT5遺伝子を遺伝子導入するとアルブミン尿の改善が認められた。 またヒト培養ポドサイトを用いた検討では、高糖条件下のヒト培養ポドサイトにKAT5を遺伝子導入すると、ネフリン発現の改善、ネフリンプロモーター領域のDNAメチル化低下、DNMT1結合低下が認められ、KAT5によりネフリンプロモーター領域のDNMT1結合低下、メチル化低下を介して、ネフリン発現が上昇する可能性が示唆された。
|