研究課題
慢性腎臓病は末期腎不全、透析導入へのリスクのみならず、心血管イベントのリスクであることが理解されて久しい。そのため慢性腎臓病治療対策が重要であるもののその病態解明は十分でない。多くの要因により腎機能障害は進行するが共通経路として慢性炎症が存在することがわかっており、その意義が示されてきた。一方で慢性炎症の機序は不明であり自然免疫のシステムであるInflammasomeに着目し検討を行っている。まず我々はInflammasome活性化機序に関して検討を行った。着目したのは転写因子であるNrf2(nuclear factor E2 p45-related factor 2) であり抗酸化遺伝子群のマスターレギュレーターである。Nrf2活性化は抗酸化作用及び抗炎症作用により腎保護的に働くことが想定されており創薬の一つのターゲットとなっている。一方で自然免疫応答のシステムであるInflammasome活性化に必須のタンパクとしても知られておりその意義は不明であった。そこで「Nrf2依存的inflammasome活性化が腎組織内炎症遷延及び線維化に重要である」という仮説のもと研究を行った。本研究結果よりNrf2依存的Inflammasome活性化が腎障害の進展に重要であり、特にM1マクロファージ浸潤の遷延化に影響していた。この結果は今まで不明であった慢性腎臓病の病態、特に炎症の遷延化の一端を解明することに大きく寄与した。平成29年度では一部を論文化することができた。
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Scientific Reports
巻: 18 ページ: 8801
10.1038/s41598-017-08054-2.