本研究ではパーキンソン病(PD)患者に対する脳深部刺激療法(DBS)後の発話障害の病態解明を目指した観察研究を行った。多くの患者がPD固有の発話障害(運動低下性構音障害、吃音、気息性嗄声)を有すること、DBS誘発性の発話障害として頻度が高いのは努力性嗄声と痙性構音障害であること、DBSは吃音や気息性嗄声を悪化させる場合があることを見出した。また、吃音の発生は男性患者に頻度が高く、運動機能や認知機能が不良であること、抗パーキンソン病薬の投与量が多いことが吃音の重症度と関連していた。今後の展開として、発話障害の客観的評価法、発話障害の病態に応じたテーラーメイドの治療法の開発が求められる。
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