研究課題/領域番号 |
16K19509
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上村 麻衣子 京都大学, 医学研究科, 特定研究員 (00767395)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / シヌクレイン / スクリーニング |
研究実績の概要 |
薬剤スクリーニングで選出された、α-シヌクレイン(α-Syn)の発現を抑制する2種類の化合物(化合物A・B)を基に、15種類の類似構造化合物と60種類の類似作用化合物を選出し、それぞれ同様にルシフェラーゼ活性と細胞毒性をスクリーニングした。その結果、類似構造化合物に関しては、いずれも化合物A・Bと同様の傾向を示した。類似作用化合物に関しては、化合物A・Bと同様の傾向を示すものもあったが、むしろ低用量でα-Synの発現量を倍増させるものがあり、作用機序の二面性を伺わせる結果であった。 一方で、化合物投与に使用するモデル動物に関しても改良を行った。以前までは、野生型マウス、もしくはヒトα-Synとその発現調節領域を含む細胞人工染色体トランスジェニックマウス(α-Syn-BAC Tgマウス)にα-Syn凝集体を脳内接種していたが、α-Syn凝集体の脳内伝播の程度が少なく、薬効効果の検証が難しい可能性があった。これに対し、ある特定の遺伝子変異を導入したマウスにα-Syn凝集体を脳内接種すると、α-Syn凝集体脳内伝播の程度が強く、薬効検証が十分期待できる結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
化合物A・Bの類似構造物および類似作用化合物のスクリーニングを行った。ルシフェラーゼアッセイを用いたスクリーニングでは、類似化合物は、概ね化合物A・Bと同程度のルシフェラーゼ活性抑制効果を認めたが、化合物A・B以上に効果が期待できるものはなかった。類似作用化合物は、低用量ではむしろα-Synの発現を促進させるものを数種類確認した。これらの化合物は受容体を介して作用している可能性があった。 しかしながら、化合物A・B処置後のSH-SY5Y細胞、HeLA細胞でのRT-PCRを再検したところ、α-SynのmRNA量に変化が確認できず、再現性がとれなかった。このため、細胞培養や薬剤処置の条件を再検討することとなり、研究の進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、化合物A・Bのα-Syn転写抑制効果を、RT-PCRで再現できるように、条件検討を継続する。化合物A・Bによるα-Synの転写抑制効果が再現できた場合、計画していた、抑制機序の解明およびモデル動物への投与による薬効検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
薬剤スクリーニングにて選出した候補化合物(化合物A・B)の、タンパクレベルおよびmRANレベルでのα-Syn抑制効果の再現性が得られず、条件検討を継続していたため、予定していた実験に着手する事ができず、試薬等の購入を見合わせていた。
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次年度使用額の使用計画 |
ボトルネックとなった実験の再現性がとれれば、予定していた試薬や物品の購入を行う。
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