研究課題/領域番号 |
16K19512
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
早川 英規 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (70468594)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | alpha-synuclein / 多系統萎縮症 / オリゴデンドロサイト |
研究実績の概要 |
①神経細胞とオリゴデンドロサイト共培養の確立 神経細胞-オリゴデンドロサイト間でのαsynの伝播について検証することを目的とした。 αsyn発現SH-SY5Y細胞(WT及びG51D, A53E変異型αsyn を導入)とオリゴデンドロサイト共培養系の確立およびオリゴデンドロサイトでのαsynの取り込み、蓄積を評価した。 カルシウム刺激やexosomeを刺激する薬剤を使用し、細胞から放出されるαsynを細胞上清中で確認した。今後、神経細胞、オリゴデンドロサイトにおいてどちらがよりαsynの取り込みを行うか評価する。細胞に試薬を添加後、細胞上清のsyn量をELISA法を使用し測定する。また細胞を回収し細胞内のsyn量をウェスタンブロットで測定する。αsyn発現オリゴデンドロサイトと正常型神経細胞を用い、神経細胞へのαsynの取り込み、蓄積をsyn抗体、リン酸化syn抗体を用い免疫組織学的に評価する。またPLP/DMを含有するオリゴデンドロサイト由来exosomeを超遠心を用いて測定する。共培養系はE-plate insert(Rhoche社)を使用することで間接的相互作用を観察することが可能である。 ②オリゴデンドロサイトでのin vivo強制発現系の構築 ・AAV 8ベクターもオリゴデンドロサイトへの遺伝子導入が報告されており、同様にAAV 8-EGFP、AAV8-αsynを作成した。今後マウスの黒質線条体に投与する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、ヒトオリゴデンドロサイト培養系であるKG1C細胞系を用い、WTおよびG51D, A53E変異αsynを導入したstable cell lineを作製を試みたが、トランスフェクション効率の低さ、細胞増殖能が遅いためstable cell lineの作製を断念した、神経細胞とオリゴデンドロサイト共培養の確立を行った。 神経細胞-オリゴデンドロサイト間でのαsynの伝播について検証することを目的とする。 αsyn発現SH-SY5Y細胞(WT及びG51D, A53E変異型αsyn を導入)とオリゴデンドロサイト共培養系の確立。共培養系transwell(costar社)を使用することで間接的相互作用を観察することが可能である。上皿にαsyn発現SH-SY5Y細胞、下皿にオリゴデンドロサイトであるKG1C細胞を培養した。数時間後KG1C細胞においてαsynの取り込み認めた。
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今後の研究の推進方策 |
①オリゴデンドロサイトの長期培養によるαsyn蓄積機構の解明。オリゴデンドロサイトではαsynの取り込みに環境因子が関わることが示唆されている(Pukass et al. J Mol Neurosci 2014)。αsyn変異型、環境因子、培養期間を変え検証することを目的とする。オリゴデンドロサイト培養系にWT及びG51D, A53E変異型αsyn(monomer, oligomer)を投与し長期培養にてその変化を観察する。またMPP+、ロテノンや酸化ストレス、多価不飽和脂肪酸といった環境因子を加えていくことでαsyn蓄積を促し解析を行う。上記モデルでのオリゴデンドロサイト内のユビキチン・プロテアソーム系の状態を生化学的に評価し、野性型と変異型とで比較検討する。 ②マウスモデルの確立 MSAの病理学的特徴を完全に再現したマウスモデルはまだ開発されておらず病態解析が進展しない遠因となっている。その為、新たなマウスモデルの確立を目的とする。αsyn tgマウスに対してAAV1/2-MBP-TTTP/p25を導入する。野生型マウスにAAV1/2-MBPもしくはAAV8でそれぞれTTTP/p25、αsynを用いてαsyn、TTTP/p25を強制発現した状態へと変化させる。発現が確認できた系に、GCI形成能があるG51D, A53E変異型αsynのfibirlの脳内直接投与を行う。上記で作成したマウスモデルに対してロータロッドによる行動学的解析、組織標本を用いOlig2抗体、MBP抗体を用いたオリゴデンドロサイトの障害を検証する。またsyn抗体、リン酸化syn抗体を用いて凝集体の形成の有無を確認する
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